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2022/01/14 11:51
SBIアセットマネジメントが設定・運用する「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国高配当株式)」が2021年6月29日の設定から順調に残高を伸ばしている。同ファンドは、「FTSEハイディビデント・イールド・インデックス(円換算ベース)」を連動目標とし、同じ運用方針で米バンガード社が運用する「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」を投資対象にしている。同ファンドは、安定的に高い配当を出す企業を主体に投資するため、ディフェンシブ(防衛的)な性格が強い。米国の金融政策がインフレ抑制を意識した引き締めに転じようとする中、安定的な業績が期待されるセクターの組入比率が高いことから、成長株の性格が強い「S&P500」と組み合わせて投資するファンドとしての側面も注目されている。 「バンガード・米国高配当株式ETF」を投資先とする米国高配当株式インデックスファンドでは、「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・バンガード・ファンド(米国高配当株式)>」が2018年1月10日に設定され先行していたが、後発の「SBI・V・米国高配当株式」が残高で上回った。「SBI・V・米国高配当株式」の信託報酬が投資するETFの管理報酬等を含めた実質で0.1238%(税込み)と、「楽天・バンガード・ファンド(米国高配当株式)」の実質0.192%(同)を大きく下回っていることなどが支持されていると考えられる。 「SBI・V・米国高配当株式」が実質的な投資先とする高い配当を実現している企業は、業績も安定したディフェンシブな銘柄群が多い。同ファンドの実質的な組み入れ銘柄は、2021年11月末現在でトップが金融の「JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー」、第2位が一般消費財・サービスの「ホーム・デポ」、第3位がヘルスケアの「ジョンソン&ジョンソン」となっている。これまでの米国株高を主導したGAFAM+T(グーグル<アルファベット>、アマゾン、メタ<旧フェイスブック>、アップル、マイクロソフト、テスラ)が構成銘柄の上位を占めるS&P500とは顔ぶれが違う。米国の金融政策の変更をきっかけに、ここ数年で大きく値上がりしたS&P500などが代表する成長株の株価水準に対する警戒感が台頭する中で、資金の一時避難先としてディフェンシブな要素が強い米国高配当株式への注目度は増しているといえよう。 実際に米国の主要株式インデックスの配当利回りを、インデックスに連動する代表的なETFの分配金利回りで比較すると、22年1月13日現在で、米国高配当株式組み入れのETF「VYM」の2.70%に対し、NYダウ連動型の「DIA」は1.59%、S&P500連動型の「VOO」の1.27%という水準になる。この分配金利回りは、着実に積み上がってパフォーマンスを下支えする。成長株の比率が高い「S&P500」とディフェンシブな「米国高配当株式」の違いが際立っている。株価指数(円換算ベース)の推移をみると、直近2年間ではS&P500やNYダウが米国高配当株式を上回る成績だったが、直近1年間に限定すると米国高配当株式が上回っている。 米バンガード社のETFを主要投資対象として、業界で最低水準の信託報酬を設定している「SBI・V」シリーズは、旗艦ファンドともいえる「S&P500」に連動する「SBI・V・S&P500」が残高4669億円に達している。シリーズの「SBI・V・全米株式」が522億円、「SBI・V・米国高配当株式」は67億円だ。投資環境の変化に対応して、シリーズそれぞれのファンドの特性を活かしたポートフォリオ運用(ファンドを組み合わせた運用)も考えたい。(グラフは、米国の代表的な株式インデックスに連動するETFの分配金利回りの推移)
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