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2022/01/18 13:33
DC専用ファンドの2021年12月の純資金流出入額は約701億円の流入超過になった。700億円を超える資金流入額は21年6月の845億円以来の高水準。資金流入超過は2020年12月以降13カ月連続になった。先進国株式が約306億円の資金流入額となり、前月の約428億円の資金流入額からは減少したものの、依然として資産別ではトップの資金流入となっている。一方、前月は約9億円の資金流出となっていた国内株式は約119億円の資金流入に転じた。同様に、前月は約11億円の資金流出だった国内債券も約27億円の資金流入に転じるなど、全ての資産クラスが資金流入となった。 DC専用ファンド全体の純資産総額は約8兆7671億円と前月から約2623億円増加し、2カ月ぶりに過去最高を更新した。資産配分状況は、株式ファンド47%、債券ファンド17%、バランスファンド34%という割合で、前月と変わらなかった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない) ■資金流入額トップ10は先進国株式インデックスファンドが優位 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、トップの「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」を筆頭にトップ4を先進国株式インデックスファンドが占めた。前月のトップ10独占とまではいかないものの、引き続き先進国株式インデックスファンドが優位な状況が続いている。 ただ、トップの「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」の資金流入額は約50億円で前月の約73億円からは流入額が30%超減っている。また、第5位に国内株式の「One DC国内株式インデックスファンド」、第9位に国内債券の「One DC国内債券インデックスファンド」、そして、第10位にバランスファンドの「三菱UFJプライムバランス(安定成長型)DC」が入るなど、資金流入額上位の顔ぶれが分散化されてきている。 資金流入ファンドが先進国株式インデックスファンドから、分散化している傾向が出てきた背景の1つは、パフォーマンスの鈍化があげられよう。先進国株式インデックスファンドのトータルリターン(1年)は、12月末現在で38%程度と40%を割り込んでいる。10月末時点ではトータルリターンが1年間で50%を超えていた先進国株式インデックスファンドの上昇率は11月、12月の2カ月連続で40%を下回ったことで、鈍化傾向が鮮明になった。昨今の新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の世界的なまん延が、世界経済の先行きを不透明にしていることも先進国株式に強気一辺倒になれない理由にもなっており、米国株式を中心に「先進国株式」が集中的に選好されていた状況が変わりつつある。 2021年のランキングを振り返ると、1年を通じて外国株式インデックスファンドへの資金流入が目立った。2月のトップに「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」、10月に「4資産分散投資・スタンダード<DC年金>」がトップに立つことはあったが、それ以外は、外国株式インデックスファンドがトップだった。中でも「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」は7カ月でトップを記録した。 ■トータルリターンは先進国リートインデックスが急浮上 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、「DCダイワ・グローバルREITインデックス」だった。以下6位までを先進国REITインデックスが占めている。第7位は「DCダイワ・グローバルREITアクティブ」で先進国REITアクティブファンド、第8位も先進国REITインデックスであるため、上位8ファンドが先進国REITを主たる投資対象としたファンドになった。 海外REITを対象としたファンド以外でトップ10に入ったのは、米国のS&P500に連動するインデックスファンドだった。 先進国REITインデックスは10月にもトータルリターンランキングの上位を席巻したが、その際のリターンの水準は1年で60%程度の水準だった。12月末時点では、それが年50%程度の水準に下がっている。 2021年の月間ランキングを振り返ると、1月は「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が1年トータルリターン89.39%でトップに立ち、6月までトップに君臨し続けた。7月は「DC日産株ファンド」など、国内株の個別企業グループ特化型のファンドが上位を占めたが、8月、9月は「<DC>ベイリー・ギフォードESG世界株F」がトップに立った。10月以降は、先進国REITインデックスと先進国株式インデックスファンドが上位を占める展開だった。 リターントップの1年リターンは「<DC>ベイリー・ギフォード世界長期成長株F」が3月に記録した99.43%がピークだった。ちょうど、2020年3月のコロナショックで付けた下落の底からの出直りがピークに達した時期だ。その後は、徐々にパフォーマンストップの上昇率は鈍化し、12月には50%程度になった。(グラフは、DC専用ファンドの資産別資金流出入額の推移)
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