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2022/03/04 19:39
「クレジットカードで投資信託を買う」というと、固定で支払うカード手数料を負担しながら収益の確定しない投資信託を購入するという不合理な方法にみえて、決して推奨されるような方法ではなかった。しかし、ここ数年、ネット証券の間で「クレジットカードで投資信託を積立購入する」ことが急速に広まっている。クレジットカードの利用金額に応じてポイントを還元し、しかも、カード決済は1回払いに限定することでクレジットカード手数料はゼロになっている。この方法は、これまで一般的だった購入代金の銀行口座からの引き落としを、クレジット決済に置き換えるだけといえ、それだけの手間をかけるだけで、購入代金の0.5%〜2%のポイントが還元される。期間限定で5%のポイント還元のキャンペーンも企画されている。積立購入に限定したサービスであること、購入金額が月額5万円以下、証券会社によって使えるカードが限定されるなど制限はあるが、資産形成の効率化手段の1つとして検討してみたい。 auカブコム証券が「au PAYカード決済による投資信託の積立」を3月28日にスタートする。「au PAYカード」で投資信託の積立を行えば、購入金額の1%をポイント還元するサービスだ。このサービス開始に合わせて、携帯電話でau回線(5G/4G LTE)を使っている契約者には、積立開始から1年間は4%のポイント還元を上乗せして最大5%のポイント還元を実施するキャンペーンを行う。「au PAYカード」を使って限度額(月額5万円)の投信積立を行うと、還元されるポイントは1年間で最大3万ポイントになる。UQ mobile(5G)の契約者には2%のポイント還元を同じく1年間上乗せする。還元されるのは1ポイント=1円相当で使える「Pontaポイント」だ。 サービス開始特典といえる4%還元がなくなっても、購入代金の1%をポイント還元する仕組みは、決して小さくない。さらに、指定の投資信託(約270本)や特定の投資信託を積立すると、ポイントが上乗せされるサービスもある。 このような投資信託の積立購入に関するポイント還元サービスは、大手ネット証券では楽天証券が先行して実施し、「楽天カード」を使った投資信託の積立購入で購入金額の1%に相当する「楽天ポイント」を還元している(2022年9月以降は、楽天証券が受け取る信託報酬が年0.4%以上の商品に限定、0.4%未満の商品の還元率は0.2%になる)。今年(2022年)6月からは、オンライン電子マネー「楽天キャッシュ」で投信積立も利用可能となり、「楽天カード」から「楽天キャッシュ」にチャージするとチャージ額の0.5%をポイント還元する予定だ。「楽天ポイント」は1ポイント=1円相当で投資信託などの購入代金に利用できる。 SBI証券は、昨年(2021)年6月から「三井住友カード」を使った投資信託の積立購入で0.5%〜2%の「Vポイント」を還元するサービスを始めた。「三井住友カード(NL)」を使うと0.5%、「三井住友カードゴールド(NL)」では1%、「三井住友カードプラチナプリファード」を使うと2%をポイント還元する。2022年5月以降、「Vポイント」でのポイント投資が利用可能になる予定だ。 マネックス証券は、今年(2022年)2月25日からアプラスが発行する「マネックスカード」を使って投信積立サービスを行うと「マネックスポイント」を最大で1.1%還元するサービスを始めた。「マネックスポイント」は、株式売買手数料に1ポイント=1円単位で充当できるほか、「dポイント」や「Pontaポイント」などと交換することができる。 ネット証券は、投資信託の購入時手数料を無料にしている。加えて、投資信託の積立契約については購入金額に対してポイント還元を行うサービスを上乗せした。各社、つみたてNISAの口座獲得でしのぎを削っているが、このポイント還元サービスは、つみたてNISA口座の獲得のみならず、1人1口座しか作ることができない「つみたてNISA口座」とは別に、一般の口座で投資信託の積立購入を始めるきっかけにもなっているようだ。 つみたてNISAは、購入できる投資信託がインデックスファンドなど200本程度に限定されている。しかも、投資収益に対する課税が免除される制度なので、全ての投信購入にメリットがあるわけではない(投資信託の収益がゼロ、マイナスの場合は課税免除のメリットがない)。購入できる限度額も、年間40万円(月額約3万3300円)と限定的だ。これに対して、ポイント還元は、購入代金に対して実施されるので確実にメリットが得られる。投資対象商品もアクティブファンドなど幅広い商品が対象になる。このようなポイント還元サービスに加えて、ネット証券各社は、それぞれに投資信託関連のコンテンツを拡充し、また、様々な期間限定キャンペーンを繰り広げている。ネット証券での投資信託の販売額が近年、急速に伸びている背景だろう。(図版はポイント還元のイメージ。イメージ写真提供:123RF)
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