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2022/03/10 11:06
SOMPOアセットマネジメントが2021年12月21日に設定した「SOMPO123 先進国株式」は、信託報酬が年0.077%(税込み)という超低コストで世界の株式に分散投資ができる。先進国株式に投資するアクティブファンドとして、低コストのインデックスファンドに代わる投資対象にもなり得る。「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドでは、もっとも低い信託報酬が年0.1023%(税込み)の水準であるため、これを一段下回っている。同ファンドを設定した狙いと、ファンドの運用についてSOMPOアセットマネジメントのリテール営業部営業推進グループリーダーの熊谷達則氏(写真)に聞いた。 ――信託報酬が年0.077%という水準は、10年間の期間限定で信託報酬をゼロにしたファンドや成功報酬型のファンド、また、いくつかのETF(上場投資信託)を除けば、国内の公募ファンドで最低の手数料水準になります。なぜ、これほど低いファンドを設定することにしたのですか? インターネット専業証券で投信の購入が爆発的に伸びていることが大きな理由です。その売れ筋の中心は低コストのインデックスファンドです。投信業界は、販売手数料無料(ノーロード)で信託報酬が低いインデックスファンドを設定し、競い合って信託報酬を引き下げてきました。結果的に、年0.1%を下回るような信託報酬で運用される投信も出てきたのですが、私どもは最後発の立場になるため、この成長市場に参入し、お客さまから振り向いていただくには、一段と低いコスト水準を実現するしかないと考え、徹底してコストにこだわった商品を考えました。運用コストが低いことは、投資家の皆様の利益に直結しますので、信託報酬がより低いファンドをめざしました。 ただ、コストが低ければよいというものではないと思います。お客さまが長期に保有しても価値が劣化しない高い品質も兼ね備えた商品にしなければなりません。さらに、ファンドの名前に「123(ワン・ツー・スリー)」とつけたように、投資のファーストステップとして利用していただけるような分かりやすい商品性にすることも心がけました。 ――どのような工夫で低コストを実現したのですか? まず、ファンドの運営にかかるコストを徹底して見直しました。ファンド内容の説明資料である目論見書や定期的な運用報告書などは、全て電子媒体として紙の印刷は行いません。その他、削れるコストは徹底して削っています。 また、運用にかかるコストについては、従来の外国株式アクティブ運用で調査対象としている外国株式ユニバース採用銘柄(約300銘柄)から、123銘柄を抽出してポートフォリオを構築するようにしています。ユニバースに採用している約300銘柄は、既存のアクティブファンドの運用で既に調査していますので、追加の調査コストは必要ありません。 一方、たとえば、「MSCIコクサイ・インデックス」の構成銘柄数は約1300銘柄になりますが、これに連動させたインデックスファンドにしようとして1000銘柄を超えるような銘柄数でポートフォリオを組みますと、株式の売買執行や保管等でコストがそれなりに発生します。ポートフォリオの分散効果と売買執行等のコストの両方を勘案してバックテストによる検証を重ねた結果、123銘柄前後に絞ってポートフォリオを構築することにより、売買執行等のコストの抑制と適切な分散効果の実現を両立させることが可能と考え、現状の銘柄数を決定しました。 ――ファンドの値動き等の特性は? 概ね「MSCIコクサイ・インデックス」に近い値動きになると想定しております。当ファンドの銘柄選定の考え方に基づいてシミュレーションした結果、2017年12月末から2021年9月末まで3年9カ月間の期間で当ファンドのモデルポートフォリオのトータルリターンは年率13.4%でした。この間の「MSCIコクサイ・インデックス」は12.8%でその差は0.7%程度となっております。 ポートフォリオの特性としては、大型株、かつ、優良銘柄中心のポートフォリオになっています。株式の流動性も高く、長期に存続できるだけの事業基盤を持っている企業で構成されたポートフォリオといえます。たとえば、「MSCIコクサイ・インデックス」では構成銘柄のトップ10に電気自動車メーカーの『テスラ』が入っていますが、当ファンドでは信用格付けが低い銘柄は投資対象から除外するため、今のところ組み入れていません。 昨今の売れ筋のアクティブファンドの多くは、20〜50銘柄程度に集中投資しています。そのことによって、インデックスを大きく上回る運用成績を出そうという発想ですが、当ファンドの場合、インデックスとの乖離リスクをある程度意識しつつ100銘柄以上の銘柄数で分散投資を行っており、銘柄数を絞ったアクティブファンドと比べると、インデックスファンドに近似した商品性になると考えられます。 一方、インデックスファンドには、インデックスに連動するがためのデメリットもあります。インデックスは定期的に構成銘柄の入れ替えを実施していますが、この採用銘柄の入れ替えのタイミングで、新たに採用される銘柄の株価が大きく値上がりしてしまうということがしばしば発生します。銘柄入れ替えは事前に告知されるため、入替の期日までに新規採用銘柄の株価が上がり、入れ替え実行とともに株価が下落する傾向があります。この銘柄入れ替えに伴う株価変動は、インデックス投資家にとっては、マイナスの影響しかありません。当ファンドでも銘柄の入れ替えは行いますが、事前に告知するようなことではありませんので、このようなイレギュラーな値動きとは無縁です。 ――このファンドの使い方について提案は? ぜひ、長期積立投資の対象銘柄としてお使いいただきたいと思います。当ファンドは積立投資用に企画されたファンドです。購入時手数料が無料、かつ、運用にかかる信託報酬も非常に低い水準のファンドになっています。当ファンドが投資する先進国の優良企業は、世界経済の成長にともなって企業成長を図っていくことができます。世界経済は緩やかな成長を続けると期待されています。その世界経済の成長に沿って、当ファンドのパフォーマンスも成長が期待されます。長期の積立投資には非常に有力な投資対象だと思います。
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