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2022/06/16 18:06
国内資産を例にとって、国内大型株及びREITというリスク資産に投資するファンドの年初来パフォーマンスを見ると、バリュー株ファンドの堅調ぶりが目立つ。米利上げピッチの加速観測などを受けて年初から世界株安基調となる中で、インカム収入などが支えとなった。15日には米FRB(米連邦準備制度理事会)が大幅な利上げを決定したが、今後も大幅利上げが行われる余地は残る。日本を始め世界の株式市場は不安定な推移が見込まれ、国内においてバリュー株ファンドの存在感が一段と高まることもありそうだ。 ウエルスアドバイザーカテゴリー「国内大型バリュー」、「国内大型グロース」、「国内大型ブレンド」、「国内REIT」の6月15日時点の年初来リターン(カテゴリーに属するファンドのリターンの平均)を見ると、「国内大型バリュー」が4.39%のプラスとなった一方、「国内大型グロース」は▲10.12%、「国内大型ブレンド」は▲4.29%、「国内REIT」は▲5.26%といずれもマイナスとなった。 世界の株価は、資源高と供給混乱によるインフレの高進、その抑制のための米利上げピッチの加速観測、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて、年初から下落基調が続く。日本を除く世界の先進国の株式に投資するカテゴリー「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」の6月15日時点の年初来リターンは▲6.08%、新興国株式に投資する「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」も▲4.00%といずれも低調である。国内外の株式に投資するカテゴリーのパフォーマンスが概ね冴えない中で、配当利回りの高い株式に投資するファンドの多い「国内大型バリュー」は、インカム収入を支えにプラスのリターンを確保している。なお、「国内REIT」は3月下旬から6月上旬までは「国内大型バリュー」に次ぐパフォーマンスであった。金融市場を取り巻く不透明な環境下で、相対的に高い利回りが支えになったと見られる。 FRBは15日、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%引き上げた。引き上げ幅は27年7カ月ぶりの大きさである。同日の米国株式市場でNYダウが反発し、16日の国内株式で日経平均株価が反発した。大幅利上げ観測から事前に売り込まれていたためであるが、両市場ともに買い一巡後の上値は重かった。パウエルFRB議長は0.75%の利上げが定着することを否定したが、米国のインフレの動向次第では大幅利上げが続く可能性があり、米景気の冷え込みに対する懸念が広がっている。 日米を中心とする世界の株式市場は、米国の物価や景気関連指標にらみの神経質な展開が続くと見られる。不安定な市場環境の中でも堅調さを発揮してきた国内バリュー株ファンドのパフォーマンスが注目される。
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