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2022/07/07 15:51
DC専用ファンドの2022年6月の純資金流出入額は約1566億円の流入超過となり、資金流入超過は2020年12月以降19カ月連続になった。資金流入額が1500億円を超えるのは、2020年1月(約1670億円)以来、2年5カ月ぶりのこと。流入額のトップはバランスの638億円で、前月の186億円から3倍以上に増大した。次いで、先進国株式の485億円だった。前月は資金流出だった国内債券も資金流入に転じ、すべての資産クラスで資金流入になった。 DC専用ファンド全体の純資産総額は約8兆8198億円と前月から約236億円増加した。1500億円を超える資金流入があったものの、米国株価の下落など世界的な景気後退懸念で株価が軟調に推移したため、純資産総額の伸びは鈍った。残高の内訳は、株式ファンド46%、債券ファンド16%、バランスファンド35%という割合で、株式ファンドの比率が前月比1%ポイント低下した。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない) ■資金流入額トップ10の6割を「三菱UFJ」が占めた DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、「野村DC外国株式インデックスF・MSCI」だった。前月はランキングトップ10のうち9銘柄を外国株式インデックスファンドが占めたが、6月は4銘柄に激減。代わって、バランスや国内株式、新興国株式、海外債券などがランクインした。 三菱UFJ国際投信の「三菱UFJプライムバランス」がランキングの第2位(安定成長型)、第3位(成長型)、第5位(安定型)に入った。同ファンドは、三菱UFJグループがDC制度の運用において「コア資産」と位置付ける代表的なバランスファンドだ。企業型DCの加入者が運用方法を指定しなかった場合に、自動的に買い付けるデフォルト商品(指定運用方法)にも採用されやすい商品群になっている。 その他、第7位に「三菱UFJ DC国内株式インデックスファンド」、第9位に「三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド」、第10位に「三菱UFJ DC海外債券インデックスファンド」が入るなど、三菱UFJ国際投信が運用するファンドがトップ10のうち6銘柄を占めた。 前月まで2カ月連続でトップ10のうち9銘柄を先進国株式インデックスファンドが占めるという人気の集中が解けた。代表的な米国株価指数が年初から20%以上も下落し、いわゆる「弱気相場」に入ったため、今後の物色の方向性が定まらないという状況になっている。エネルギー価格や穀物価格の高騰と、世界的な物流網の寸断がもたらしたインフレが世界経済の重しとなって、足元の経済成長が鈍化している。短期間に大きく下落した株価には水準訂正の上昇も期待できるが、「リセッション(景気後退)」の局面では株価の上昇は期待し難い。一方、米国の利上げの影響などによってジワリと進んだ金利の水準訂正は、債券を利回りで買う魅力を押し上げた。従来の株式メインのポートフォリオに、利回りが向上した債券を加えたバランス型が好まれるようになっている。 ■トータルリターンのトップは前月に続いてピクテの「グロイン」 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月トップの「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドDC」が2カ月連続でトップを維持した。前月までトップ10のうち9銘柄がグローバルREITを投資対象にしたファンドだったが、今月はグローバルREITファンドは7銘柄に減少。代わって、第2位に「野村 世界好配当株投信(確定拠出年金)」、第3位に「ブラックロック・ヘルスサイエンス・DCファンド」が入った。(グラフは、DC専用ファンド資産分類別1カ月間の資金流出入額の推移)
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