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2022/07/28 19:33
「議決権電子行使プラットフォーム」を提供するICJと米フィンテック大手のブロードリッジ・フィナンシャル・ソリューションズ(NYSE:BR)は7月28日、ICJが運営する議決権電子行使プラットフォームへの参加上場企業数が6月末時点で1700社を超えたと発表した。当日にメディア向け合同説明会を開催し、ICJ代表取締役社長の今給黎成夫氏(写真:右)は、「この分野で世界をリードするブロードリッジ社の知見も生かし、日本国内の株主総会運用プロセスのデジタル化を進めたい」と、議決権行使等の電子化を一段と普及させたいとした。また、ブロードリッジ・インターナショナルのプレジデントであるサミール・バンディリ氏(写真:中央)は、「議決権行使の電子化は世界的な潮流で、先行した米国を欧州やアジア各国が急速にキャッチアップしている。市場の規律が守られ、透明性の高い市場にこそ、世界の資金が集まってくる。世界的なESG投資の成長に貢献すべく、各市場の実情に合わせたテクノロジーを提供していきたい」と語った。 ICJは、東京証券取引所とブロードリッジが折半出資する会社で2004年7月に設立された。社名は「インベスター・コミュニケーション・ジャパン」を意味し、上場企業と株主の間の対話を促すプラットフォームを提供している。「議決権電子行使プラットフォーム」はメインのサービスで、その他に「バーチャル株主総会」の支援などを行っている。「議決権電子行使プラットフォーム」を開始した2006年3月から10年ほどは、参加企業数は500社未満で横ばいだったという。それが、2015年にコーポレート・ガバナンスコードが施行され、16年に経済産業省の株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会においてプラットフォームの利活用が提言されたことなどから、年々参加企業が増加。2019年3月末に参加上場企業数は1000社を超え、22年6月末に1738社にまで膨らんだ。特に、東証プライム市場上場(1873社)のうち87.6%を占める1610社が参加している。また、国内外の機関投資家も47社が参加している。 ICJの今給黎氏は、プラットフォームを利用する利点として従来の紙と郵便による総会通知と議決権行使の必要がなくなるだけでなく、「株主総会に関わる関係者をネットワークでつなぐことで、的確な議決権行使に必要な時間の確保、そして、情報受発信の機会を上場会社と機関投資家双方に提供し、株主総会直前まで両社の建設的な対話の実現を促している」という。プラットフォームに参加する機関投資家の権利行使の途中経過が1日2回レポートされることで、総会議題で反対の多い議案について、企業側が議案について理解を促すために追加資料を株主に提供するなどのコミュニケーションができる。プラットフォーム上では議決権行使期限まで賛否の意向を変更することができるようになっており、当初の賛否を変更することも可能だ。また、ICJがブロードリッジと連携していることで、ブロードリッジが契約する世界の機関投資家4500社も日本の株式の議決権行使に参加することが可能になっている。さらに、ブロードリッジは日本に進出して25年の歴史があり、日本の規制や商習慣等を十分にくみ取ったシステム構築ができることも強みとした。 ブロードリッジ・フィナンシャル・ソリューションズの銀行・ブローカー・ディーラー向けインターナショナル・ソリューションズ部門ゼネラルマネージャーのデミ・デレム氏(写真:左)は、「85%の資産運用会社がESGの優先度は高いと表明し、83%の消費者が企業はESGのベストプラクティスを積極的に導入すべきと考えているように、ESGは投資プロセスの一環に組み込まれつつある」と世界の現状を解説。特に、欧州ではガバナンスがEUの資本市場同盟(CMU)の重要な要素となるなど、これまでにない速さでコーポレートガバナンスに関する規制が強化されていると紹介。アジア地域ではオーストラリアとシンガポールがフィンテックの導入に積極的に取り組んでいると評価した。(写真はICJとブロードリッジの合同説明会の様子)
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