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2022/08/02 15:12
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、22年7月)のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 先進国株式」で前月と変わらなかった。ランキング上位には「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」や「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など、米国株式インデックスファンドが並ぶが、7月はトップ10圏外から「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が第6位にジャンプアップした。バランス型がトップ10に入るのは、今年2月に「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が第7位に入って以来、5カ月ぶりのこと。 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。 投信積立は、毎月定額で長期に資金を積み立てて、時間をかけることで資産を形成する手段になっている。毎月一定金額で投資を継続するため、株式のような値動きが大きな資産が好んで投資対象になっている。定時定額投資を行うと、投資対象の価格が下落した場合は、より多くの口数を購入することができ、将来的にその投資対象が値上がりすると、大きな投資リターンが期待できるためだ。そして、中長期に値上がりが期待される株式として米国株式が選ばれ、そこに手数料を安く投資できる「インデックスファンド」が選択されるようになった。「S&P500」や「NASDAQ100」、あるいは、「全米株式インデックス(CRSP USトータル・マーケット・インデックス)」などが、投信積立契約件数ランキング上位の常連になった。 ところが、今年の米国株式は不振が続いている。年初こそ史上最高値を更新する好調なスタートになったものの、その後は下落基調となり、「S&P500」は高値から20%超、「NASDAQ総合指数」に至っては30%超の下落になった。一般に高値から20%以上下落すると「弱気相場入り」とされ、株価の反転上昇までには相当の時間を要するといわれている。米国は、今年3月から利上げを開始し、7月までに政策金利を合計で2.25%(0.25%+0.50%+0.75%+0.75%)も利上げした。この急速な利上げが、米国の景気の足を引っ張ることになるのではないかという懸念も台頭してきている。米国株価が上昇基調に転換できない要因の1つだ。 「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、世界の主要8資産に分散投資するバランス型ファンドだ。「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「国内債券」「先進国債券」「新興国債券」「国内REIT」「先進国REIT」の8資産に均等に投資する。このため、相対的に米国株式への投資比率が小さくなり、新興国などへの投資比率が大きくなる。2020年から2022年の初頭にかけて先進国株式、中でも、米国株式が大きく上昇し、その間のパフォーマンスが冴えなかった新興国株式や新興国債券に手厚く投資するというのは、現状において一つの考え方といえる。また、8資産にバランスよく投資することによって、今後、米国株が上昇に転じたとしても、その影響も取り込めるという全方位型の戦略になっている。(図版は、ネット証券の投信積立契約ランキング)
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