前のページに戻る
2022/08/26 18:09
ニッセイアセットマネジメントは8月26日、同社のオフィシャルホームページに「サステナビリティ特設サイト」を開設した。新たに設けた特設サイトでは、同社代表取締役社長の大関洋氏がビデオメッセージを寄せ、「我々の行うありとあらゆることが、お客様にとって社会にとって、そして、地球にとって、それぞれの未来のための『Good Investment』につながることをめざします」と宣言している。金融庁が今年5月に発表した「資産運用業高度化プログレスレポート 2022」では、「ESG関連公募投資信託を巡る状況」に多くのページを費やし、「グリーンウォッシュ」といわれるような「まがい物のESG投資」を戒め、真に社会に役立つサステナブルな投資の重要性を説いている。ニッセイアセットの特設サイト開設は、プログレスレポートに対する同社の解答の1つの表れであろうし、多くの運用会社がESG投資やサステナブルな投資に対する自社の考えについて広く情報発信を始めている。 ニッセイアセットの特設サイトでは、トップメッセージ動画の他、社長の大関氏が元NHKキャスターの国谷裕子氏と対談し、同社が考えるサステナビリティ経営やESG投資のあり方を語っている。また、同社が取り組む、「サステナビリティ経営基本方針」「サステナビリティ推進体制」「サステナビリティレポート」「ESGへの取り組み」など、ニッセイアセットのサステナビリティに関する情報に簡単にアクセスできるように情報を集約している。 そもそも、超長期の運用を基本とする生命保険を取り扱う日本生命保険の資産運用部門であった同社は、他の運用会社と比較しても、長期投資やサステナブルな投資について真剣に向き合ってきた会社といえるだろう、2006年にいち早く「国連責任投資原則(PRI)に署名するなど、「責任ある投資家」としての立場を明確にしている。そして、2008年にはESG評価を国内株式の運用プロセスに組み込み、2014年5月に日本版スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家としての諸原則)を受入れ、2017年にはグローバル株式でESG評価を運用プロセスに取り入れ、現在では内外の社債の運用にもESG評価を取り入れている。時代は今でこそ、ESG投資を強く求めるようになっているが、同社は15年以上も前から「責任ある投資家」としての意思に基づいて運用体制を作り上げてきた。 金融庁がプログレスレポートで指摘したのは、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などに対する国民的な関心が高まる中で、「宣伝文句のように実態は伴わなくてもファンド名に『ESG』を加えたり、説明資料で『ESG要素を考慮している』と書き加えているのではないか」ということだ。まさしく、責任ある機関投資家として、「ESG投資」を強調するのであれば、実態としてもESGに貢献する投資を進めるべきだというメッセージだった。グリーンウォッシュが疑われる事例は、欧米の大手運用会社が当局の検査や処分の対象になっており、国内でも見過ごすわけにはいかないという強い意志が表れていた。 ESG投資について、各国の金融当局が、これほど監視を強め、「適正なESG投資の普及」に注力していることの背景には、ESG評価を通じて企業活動が牽制できるとともに、「エンゲージメント」という運用会社と投資先企業との対話が組み込まれていることが大きいと考えられる。運用会社と企業との対話によって、企業活動の在り方がESGにとって、より良い状態に変わっていくことも期待できる。 ニッセイアセットが開設した特設サイトのような取り組みは、「野村アセットマネジメントにおけるサステナビリティ」、「三菱UFJ国際投信がめざすサステナビリティ」、「フィデリティが推進するサステナブル・インベスティングの情報」、「ESG投資への取り組み(三井住友トラスト・アセットマネジメント)」など、他社にも同様の取り組み事例がある。各社がそれぞれに「私たちが考えるサステナビリティ」について積極的に情報発信をするようになってきた。今後の資産運用業界における広がりに注目していきたい。(図版は、ニッセイアセットマネジメントのサステナビリティ特設サイトのイメージ画像、特設サイト開設のお知らせより)
ファンドニュース一覧はこちら>>