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2022/09/02 17:00
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、22年8月)のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 先進国株式」で前月と変わらなかったが、同ポイントで第3位に「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が入った。また、トップ10圏外から「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」が第9位にランクインした。前月は、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が圏外から第6位にジャンプアップしたが、今月は「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は再び圏外に落ちた。世界的に金利が上昇し、米国株価が軟調に推移する中、「投資先を何にするのか」について投資家の迷いが感じられる。 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。 投信積立は、時間をかけて資産を形成する手段になっているため、基本的には積立対象商品が頻繁に変わることはないと考えられる。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などが、長らくランキングの上位を占めているのは、株価の上昇・下降に関わらず、積立投資によって資産の「量」を積み上げる積立投資が継続しているためと考えられる。積立投資の結果は、「1口あたりの価格」×「保有口数」で求められるため、たとえば、「S&P500」指数が下がっていても、その間も購入を継続することで「量」を増やすことの効果が後々に効いてくると期待される。 それでも、毎月の積立契約件数ランキングが変動するのは、新規で積立投資を開始する人が多いことが第一に考えられる。新規に積立投資を始める人は、その時々の市場環境を考えた上で、積立投資の対象ファンドを選択しようとするため、市場の変化によって人気となる投資対象が変わる。ランキングの内容が比較的大きく変わりやすいのは、それだけ新規で積立投資を始める人の割合が高いということを示している。加えて、少ないとはいえ、積立投資の対象を変更する投資家も存在するためだろう。 今月、トップ10入りを果たした「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」は、日本を除く先進国の公社債に投資するファンド。連動を目指すインデックスは、「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」になっている。同ファンドのポートフォリオの中身をみてみると、直近の月報(基準日は2022年7月末現在)によると、ファンドの最終利回りは2.3%、直接利回りは2.0%になっている。1年前の2021年8月末現在のポートフォリオは、最終利回り0.5%、直接利回り2.0%だった。この1年間で、ファンドに「利回りの魅力」が高まったことがわかる。最終利回りが0.5%しか期待できなかったものが、2.3%得られるようになったため、ファンドとして保有していることの安心感が高まっている。 積立投資には、比較的値動きが大きく、しかも、将来的な値上がり期待もある「株式インデックスファンド」がふさわしいとはいわれるが、誰もが株価の変動を受け入れて我慢できるものではない。特に、これまで預貯金を中心に蓄えていた人が、価格変動があり、かつ、元本保証もない投資信託で積立投資を始めようと考えた場合は、株式よりも値動きが穏やかな債券に投資するファンドという選択もあるだろう。商品性の魅力も高まってきただけに、「外国債券ファンドを使って積立投資で資産を形成する」という考えが広がってもおかしくない。
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