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2022/09/05 10:03
日興アセットマネジメントは、柔軟で魅力的な投資アイデアを低コストで提供する新しいタイプの「ネット専用」「ノーロード(販売時手数料無料)」「低コスト」のファンドシリーズ「Tracers(トレイサーズ)」の提供を開始した。8月31日に新規設定した第1弾のファンド「Tracers S&P500 ゴールドプラス」は、「S&P500」に連動する米国株式インデックス運用と金(ゴールド)を等しく組み合わせ、しかも、純資産総額の2倍相当にレバレッジ(テコの原理)が効いた運用をめざす。また、2021年12月に設定した「グローバル2倍株ファンド(地球コンプリート)」を8月31日付けで約款変更し、ノーロード・低コストの「Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)」としてシリーズに加えた。新シリーズの狙いと今後の展開について、日興アセットマネジメントの商品開発部長兼ETFビジネス開発部長の有賀潤一郎氏(写真)に聞いた。 ――新シリーズ「Tracers」を設定した狙いは? 近年、若い方々を中心に、「つみたてNISA」を使って投資信託(ファンド)に積立投資をして長期に資産形成をしようという方々が増えています。このような方々は、手元には資金がないものの、これから働いて多くの賃金を稼ぎ出す力が強い方々です。本来なら2万円、3万円の積立投資をやりたいと考えても、1万円が限度という方が少なくありません。私どもは、「グローバル3倍3分法ファンド」の提供などを通じて、投資資産の2倍、3倍相当にレバレッジをかけて運用することの効果をよく理解しています。レバレッジ型は、様々な資産に分散投資してリスクを抑えることで長期の資産形成に活用できると考えています。 たとえば、「Tracers S&P500 ゴールドプラス」や「Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)」を積立投資で使っていただくと、2倍のレバレッジが効いた運用ができますので、毎月1万円の積立投資をしていても毎月2万円の積立投資をしていることと同じような投資効果を得ることができるのです。若いころに、レバレッジを使った積極的なリスクテイクをし、年齢を重ねた後は、レバレッジを使わずに投資金額を増額したり、より安定的な運用商品に切り替えるなどの投資行動をとっていただくことによって、生涯でとっていくリスクを平準化することができるようになると思います。そうすることで、結果として生涯でとることができるリスク量を増やすことができます。若いころから毎月1万円をコツコツと積立投資をしていくことの意義が、より大きなものになるのです。 また、「スマートファイブ」「ファインブレンド」などによってルールベースの資産運用や、分散投資の一環で金(ゴールド)を使った運用も積極的に提案してきました。当社の金の運用資産額は既に1千数百億円の実績があります。通常では手が出しにくい投資対象にも、「ファンド」を使うことによって投資がしやすくなります。また、ルールベースの運用は、ファンドの運用コストを抑えることもできます。 このように、ファンドでできることの可能性を様々に考えていく中で、皆様が「こんなの欲しかった」と言ってくださるような投資アイデアをファンドの設計に取り入れ、低コストで提供することで、新しい投資ツールとして使っていただけると考えました。シリーズ名の「Tracers」は、「インデックス(指数)」や「独自に定めたルール」などの『ルールに沿って運用(トレース)する』ことを示しています。今後、インデックスファンドも含めて、さまざまな、ルールベースの運用商品をシリーズとして提供していく予定です。 ――第1弾の2ファンドの特徴は? 「Tracers S&P500 ゴールドプラス」は、金とS&P500の相関係数がマイナス0.13で、逆相関の関係にある(反対の値動きをする)ため、これを組み合わせて持つことによって、投資リスクを低減させる効果があります。また、金への投資は先物を利用することで為替リスクを取りません。「S&P500」のインデックス運用はドル建ての為替リスクを取りますが、金に投資する部分では為替リスクを取らないために、為替リスクも抑えています。このようにリスク分散を図っているため、過去のシミュレーション結果では、「S&P500」や「金」に単純に投資したよりも良いパフォーマンスが確認できました。 「Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)」は、新興国株式を含む世界の株式を投資対象とし、純資産総額の2倍相当額に投資します。「MSCIオール・カントリー」の2倍レバレッジのイメージに近いのですが、全体が200%の投資比率になる中で、1つの国への投資が100%を超えないというルールを用いていますので、米国株式への投資比率が全体の半分までに抑えられます。また、実質的な投資銘柄数は8000銘柄を超え、「MSCIオール・カントリー」の3000銘柄弱よりもはるかに多く、分散投資によるリスク抑制効果もあります。 2ファンドともに、運用コストにあたる信託報酬は年0.181%(税込み0.1991%)です。第1弾とした2ファンドは、ともにレバレッジ2倍、信託報酬率が0.181%で揃いましたが、「Tracers」がレバレッジ型のファンドだけを提供するものではありません。また、信託報酬もできるだけ低くする考えですが、0.181%が標準の報酬というものでもありません。 ――シリーズの今後の展望は? ネット専用・ノーロード・低コストのファンドシリーズは、既に他社から様々な商品が提供されています。「Tracers」がその中に割って入って、シェアを獲得していくことは、簡単な話ではないとわかっています。ただ、当社では「グローバル3倍3分法ファンド」などで培ってきたルールベースの運用の実績、また、その運用の仕組みを分かりやすく伝えていくことについて多くの経験をしてきました。「Tracers」シリーズの情報発信についても、SNSを活用するなど、若い世代を中心に、積極的にリスクをとっていこうとする意欲的な投資家の方々に直接情報を届ける工夫を様々にしていく予定です。 若い方々にはレバレッジの活用は効果的だと思いますし、40代以降に本格的に資産形成を進めている方で「つみたてNISA」の枠をインデックスファンド等で使い切って、その先の投資を考えておられる方に、「Trecers」の2ファンドはご検討いただけると思います。「つみたてNISA」の対象ファンドには金を投資対象としたファンドはありません。また、米国株式や先進国株式のインデックスファンドに投資されている方には、米国以外の国々の株式に広く分散投資してレバレッジを効かせたファンドもご検討いただけると思います。 今後、第2弾、第3弾と、皆様に「こんなのが欲しかった」と共感していただけるような商品を提供していく予定です。これからの「Tracers」発の情報に注目していただきたいと思います。
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