2022/12/06 13:00
「イーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド)」は、オンライン専用ファンドながら2022年7月の設定来、毎月資金流入が続いている。7月〜9月までは月間1億円程度の資金流入だったが、10月には月次で資金流入額が5億円を超え、11月には7億円を超えた。同ファンドの設定の狙いと運用の特徴について、イーストスプリング・インベストメンツの営業マーケティング本部長の面谷祥友氏(写真)に聞いた。
――当ファンドはインドの消費関連とインフラ関連の株式に投資しますが、消費関連とインフラ関連をピックアップした狙いは?
インド経済の「コア」である内需関連に焦点を絞ったファンドにしました。インドのGDPの構成比は、約60%が個人消費です。これに、政府支出や投資などインフラ関連の数値を加えると約90%になります。すなわち、「消費関連」と「インフラ関連」がインド経済の2大テーマなのです。もちろん、インドにはIT関連企業も製薬などのヘルスケア関連企業もありますが、それらがインドの内需に与える影響はほとんどありません。個人消費とインフラ投資という2つで、インド経済の成長の要である内需の成長に投資するのが当ファンドです。
また、当社では、このインド経済の2大テーマに、それぞれに投資するファンドを既に設定しています。2006年11月に設定した「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」と、2008年5月に設定した「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」です。今回の「イーストスプリング・インド・コア株式ファンド」は、この既存の2ファンドの投資先ファンドを活用し、それぞれに等金額配分する仕組みで運用します。また、販売チャネルをオンライン専用とすることで、ファンドのコストを低減し、インド株式に投資するアクティブファンドとしては、業界で最も低い信託報酬率0.9905%程度(税込み)で提供します。販売時の手数料は無料に設定しました。多くの方々に、このファンドがインド株式に投資するきっかけになればと考えています。
インド株式は、先進国式や米国株との相関が比較的低いという特徴もあります。米国株に偏重した運用資産にインド株を加えると、ポートフォリオの安定にもつながります。
――インドの個人消費のポイントは?
インドは、中国に並ぶ14億人の人口を抱え、しかも、若者が多いことはよく知られています。この膨大な人口が所得水準の向上にともなって、息の長い消費拡大が続いています。ここ数年間のインドの個人消費の伸び率は、実質ベースで年率6%〜8%です。これは、伸び率がゼロの日本や、年2%〜3%というアメリカも大きく上回る成長率です。
インドは2019年から「人口ボーナス期」(生産年齢人口:15歳以上65歳未満が、その他の人口の2倍以上あること)に入っています。この期間は、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすいとされています。日本の高度成長期(1960年代)、中国も2000年頃から2018年頃まで人口ボーナス期に典型的な成長だったといわれています。
これに加えて、インドでは今、デジタル経済が急速に発展しています。インドの大手企業グループであるリライアンスが展開した携帯電話の格安キャンペーンの効果もあって、インドのネットユーザーは、過去5年間で3億人から8億人に5億人も増えました。このネットインフラのおかげで2020年以降の新型コロナ・パンデミックに伴うロックダウン(都市封鎖)の時に、eコマースやフードデリバリーが爆発的に普及しました。今、インドではネット関連の新興企業が勃興しています。いわゆるユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業)の社数では、インドは米国と中国に次ぐ世界3位に位置づけられます。
また、デジタル化の波は株式のオンライントレードにもおよび、株式アプリが爆発的に普及するなど、2021年の1年間で2600万口座の新規開設を実現しました。日本の証券口座が約3000万口座ですから、それに匹敵する口座が1年でできあがったのです。これが、現在のインド株式市場の堅調さを支える一助になっているともいわれます。
――インフラ関連のポイントは?
個人消費が人口ボーナスなどの影響で自然発生的に伸びていることと異なり、「インフラ投資」は、政治の安定が不可欠です。2014年5月に成立したモディ政権は、2019年5月のインド下院総選挙でモディ首相が率いるインド人民党が過半数を大幅に超える議席を獲得して圧勝しました。モディ政権の前のシン政権は2004年から10年間の政権を担ったものの、政権の基盤が弱く、当時から課題とされてきたインフラ整備は多くが計画倒れになってしまいました。安定的な政権基盤を得たモディ首相になってから、シン政権時代に積み残していたインフラ整備が一気に進みだした感があります。第1次モディ政権の目玉政策であった「メイク・イン・インディア」で外資系企業をインドに誘致する上でも、生産拠点を支えるインフラ整備は不可欠といえます。
インフラ投資には、財源の問題がありますが、インドでは、たとえば、新しい橋を架けるために、既に稼働している高速道路を民間に払い下げて資金を調達する「国家収益化パイプライン」や「国家インフラパイプライン」などの政策が実行され、計画的な投資が進められています。第2次モディ政権が誕生した2019年を起点とした6年間で140兆ルピー(約230兆円)のインフラ投資計画が承認されています。
――消費関連とインフラ関連を併せ持つことによる効果はありますか?
「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」は、過去10年間の年率リターンが13.89%(2022年10月末現在)、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」は同16.20%と、ともに高いパフォーマンスを実現しています。中でも、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」は2008年5月からの設定来リターンが約422%と、同期間の国内公募インド株ファンドでトップの成績になっています。パフォーマンスだけをみれば、消費関連ファンドだけを持っている方が、高いパフォーマンスをあげられるということですが、これからのインドの成長の要である「内需」を捉えていくという考えで、当ファンドへの投資もご検討いただけると思います。
インフレと金利上昇によって、世界経済が今後は減速していくと見通され、一部の国はリセッション(景気後退)に陥ると見通されています。IMF(国際通貨基金)の経済成長率見通しでも、インドは2023年に6.1%の成長見通しと主要国で最も高い経済成長が期待されています。内需主導の経済成長が続いているからこそ、世界的な景気減速から受ける影響も限られています。
――ファンドを運用するイーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)の運用の特徴は?
当社が日本で設定しているインド株ファンドは、全てシンガポール拠点で運用しています。また、当ファンドでは現地調査については、グループのインドの運用会社であるICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメントの投資助言を受ける形で現地の調査情報を活用しています。シンガポール拠点の運用の特徴は、成長性に着目し、投資にあたっては割安な水準にある銘柄に投資しています。
――ファンドの投資助言会社であるICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメントは、ファンドレーティングを付与しているファンドの中で5ツ星(レーティング分布は10%以内)が運用しているファンドの33.3%を占めます。4ツ星以上(同42.5%以内)で66.7%を占めるなど、非常に優れた運用成績を残しています。ICICIプルデンシャル・アセットの特徴は?
ICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメントは、インドの最大級の民間銀行であるICICI銀行と、私どもの親会社の英国プルーデンシャルの合弁会社として1998年に設立された会社で、インドにおけるグループの拠点でもあります。インド現地における調査・運用を行い、インド国内の運用会社としては運用資産残高(約4.7兆ルピー)で第2位に入る大手運用会社です。株式運用チームの陣容は32名で、うち、インド専門のアナリストが15名いて約350銘柄をカバーしています。これは、インド上場株式の時価総額の約90%を占める企業群になっています。徹底したボトムアップの調査を特徴としています。
――オンライン専用ファンドということですが、現在の取り扱い販社は?
設定時にSBI証券で取り扱っていただき、その後、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券とオンライン証券での取り扱いが広がっていますが、銀行のオンライン窓口も含めて当ファンドの取り扱いをご検討いただいている販売会社は少なくありません。
やはり、年初からのパフォーマンスをみると、世界の市場で順調に値上がりしているのはインド株式のみともいえる状況で、お客様のご関心もインド株ファンドに高まっています。たとえば、SBI証券が発表している投信積立設定件数ランキングで、10月に5位、11月にも6位にランクインしています。また、SNSで当ファンドを取り上げていただくことが増えています。従来は、私どもから商品内容を販売会社の方々にご説明し、販売会社を通じてファンドの情報が広がっていくという流れでしたが、個人投資家の方々が私どもの公式サイト等の情報を引用して、投資家の間で情報が拡散していくというのは、私どもはこのファンドで初めて経験しました。大変ありがたく、お客様の声に力づけられています。
私どもは、2004年9月に「イーストスプリング・インド株式オープン」を国内の公募投信としてインド株ファンドを初めて設定して以来、「インド投資の案内役」を自負し、公式ホームページ等を通じてインド関連情報を継続的に提供し続けてきました。「イーストスプリング・インド・コア株式ファンド」は、一人でも多くの方にインド株ファンドを資産の一部として持っていただきたいと切に願って設定しました。ノーロード・低コストのインド株ファンドです。ぜひ、資産形成の一助としてご検討いただきたいと思います。