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2022/12/28 16:06
「長期に資産運用をするのであれば、海外の株式インデックスを使った積立投資をすべきである」という考えを信奉する人は少なくない。実際に、過去10年ほどの米国株式市場の上昇率は大きく、大手ネット証券が公表している「積立投資契約件数ランキング」でも上位を占めるのは「S&P500」(米国株式)、「MSCIオール・カントリー」(全世界株式)、「MSCIコクサイ」(日本を除く先進国株式)など海外株式インデックスファンドばかりになっている。しかし、海外資産への投資は為替リスクが避けられない。そして、国内資産である日本株式を主要な投資対象にしていても海外の株価指数を上回るパフォーマンスを残しているファンドもある。2022年は特にドル円の為替変動が大きな1年だったが、2023年も為替が落ち着いた動きになるとは考えにくい。日本株ファンドを検討するタイミングではないだろうか? 資産形成の手段として株式インデックスファンドを使った長期の積立投資を行うことは、非常に良い選択だと考えられる。株式は長期に成長する資産であり、その株式にまとめて投資する株式インデックスは、長期に上昇しているものが多い。しかも、ファンドとして投資する場合のコスト(信託報酬率)もインデックスファンドは非常に低く設定されている。アクティブファンドが年1%程度〜2%程度のコストになる中、インデックスファンドであれば年0.1%程度〜0.5%程度のコストになる。年1%のコスト負担でも40年間投資すれば40%になる。これが年0.1%であれば40年投資しても4%だ。これほど明確なコスト差があるのであれば、インデックスファンドだけを投資対象とし、その中で、どのインデックスに連動するファンドを選択するのかを考える方が良いという考えになるのは当然といえる。 ただ、コストの問題は、コスト控除後のパフォーマンスによって、その多寡の感じ方が大きく変わってくる。たとえば、日本株式を主要な投資対象として長期にわたって優れた運用成績を残してきたアクティブファンド「利益還元成長株オープン(愛称:Jグロース)」は、コスト控除後のパフォーマンスで、国内株式インデックスである日経平均株価に連動するインデックスファンドを大きく上回るパフォーマンスを残してきた。例えば、1997年1月末を100とすると、2022年11月末で「インデックスマネジメントファンド225」は189と89%上昇したことに対し、「利益還元成長株オープン」は391で、291%も上昇している。約25年間の運用で上昇率に3倍以上もの差がついている。コストだけみると、インデックスファンドである「インデックスマネジメントファンド225」は税込み年0.55%で、「利益還元成長株オープン」の同0.9%の半分程度になり優位なのだが、圧倒的なパフォーマンスの差がコスト差を吹っ飛ばしてしまう。 そして、この「利益還元成長株オープン」のパフォーマンスは、海外インデックスと比較しても、十分に魅力的な水準になっている。たとえば、新興国を含む世界の株式を対象としたインデックス「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」(円ベース)と比較すると、1997年1月から2022年11月末までの運用成績で「利益還元成長株オープン」が勝っている。「S&P500」(円換算ベース)には大きく負けてしまっているが、1998年11月〜2000年1月、2003年4月〜2006年4月など、円高局面などにおいては「S&P500」を凌駕するパフォーマンスにもなっている。2011年以降の10年程度の期間は、「S&P500」が圧倒的なパフォーマンスをみせたため、現時点から振り返ると「S&P500」の優位性が際立って感じられるが、2010年くらいまでのパフォーマンスは一進一退で、どちらが良いとは言い切れない。 このように、20年を超えるような長期のパフォーマンスを振り返ると、足元の3年〜5年の印象とは異なることが見えてくる。資産運用に「絶対」ということはない。その時々の市場環境を把握して、リスクがより小さく、かつ、値上がりの期待が持てる資産を柔軟に選択していくことが重要だ。米国が逆イールド(長短金利差の逆転)になり将来の景気減速が懸念され、日米の金融政策が転換期を迎えて為替の変動が大きくなりがちな今、日本株式への投資は検討の価値がある選択肢だと感じられる。「利益還元成長株オープン」のように、ファンドレーティングで5ツ星、または、4ツ星にレーティングされるような、同一カテゴリー内で比較優位なパフォーマンスを残してきたアクティブファンドには魅力的に感じられるファンドが少なくない。ファンドの運用方針等を確認し、納得のできる内容であれば、ポートフォリオに加えることを検討したい。(グラフは、「利益還元成長株オープン」と内外株式インデックスの推移)
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