前のページに戻る
2023/01/25 21:27
三菱UFJ国際投信は1月25日、オンラインと会場のハイブリッド形式で「ブロガーミーティング新春放談会」を開催した。経済評論家の山崎元氏、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンCIOの小松原宰明氏を迎え、三菱UFJ国際投信の常務取締役である代田秀雄氏が進行役も兼ねて加わった3名による対談を行った。対談のテーマは2024年にスタートする「新しいNISA」。代田氏は、「新しいNISAは、非課税枠が大きいことに加え、制度が恒久化されたことで、これまでNISAの活用に積極的ではなかった金融機関も含めて一斉に新しいNISAの活用を勧めるようになると考えられる。来年のスタートを控えて、今年1年は、今後の資産運用業界の将来を左右するような重要な1年になる」として、今回の対談を含め、今後、新しいNISAの活用の仕方を含めた情報提供を積極的に行っていきたいと語っていた。 「新しいNISA」について、山崎氏は「思ったよりも非課税枠が大きく、また、制約も少ない。さらに、現行のNISAの枠はそのまま使えるなど、金融庁が頑張って良い制度になった」と評価した。小松原氏も「昭和の時代にあった『マル優』という制度は、多くの国民が活用する制度だったが、『新しいNISA』は、それに匹敵するほど、多くの国民が活用できる制度になると期待できる」とした。 また、代田氏が「新しいNISA」について、「『成長投資枠』と『つみたて投資枠』の2つの枠があり、合計で1800万円まで非課税という仕組みになっているが、うち『成長投資枠』で1200万円という制限があるため、『つみたて投資枠』は上限で600万円という誤解をしている人がいる。『つみたて投資枠』で1800万円を使い切ってもよいのであって、個別株投資や従来のNISAで投資してきた投信などを『つみたて投資枠』の外で『成長投資枠』を使って投資するという考え方の方が良いのではないか」と問題提起した。ただ、「成長投資枠」でも(1)毎月分配型投信、(2)高レバレッジ型の投信、(3)信託期間が20年未満の投信は投資ができない。そして、現行の一般NISA、または、つみたてNISAで投資をしている人は、そのまま、一般NISAでは5年間、つみたてNISAは20年間の非課税期間はそのまま使えて、「新しいNISA」の枠も1800万円が満額利用することができると「新しいNISA」の枠組みについて解説した。 「新しいNISA」の使い方について、山崎氏は「お金を効率的に増やしたい方々が、『NISA』を器(うつわ)として考え、できるだけ枠を大きく使うという観点で合理的に考えれば、行きつく先は『オール・カントリー』(全世界株式)のインデックス・ファンドで信託報酬率が低いファンドで1800万円の枠を使い切るという考え方になるのではないか。『新しいNISA』に『成長投資枠』というものがあるために、個別株式やETFをいかに上手に使おうかという余計な考えになってしまう。『成長投資枠に騙されるな!』といいたい」と語った。また、小松原氏は、「『アセット・ロケーション』という考え方を提案したい。非課税口座のNISAでは成長性の高い資産を保有し、NISA以外で債券などを保有するなど、『NISA』とそれ以外の一般口座をトータルで考えて資産分散を考えたい。そうすると、『NISA』の枠の中は、成長性が大きな株式インデックスファンドや個別株式などで良いのではないだろうか」と提案していた。 最後に、今年1年で最も力を入れたいこととして、小松原氏は、「『新しいNISA』も出てくることなので、お茶の間で家族で資産運用について語り合うような機会が増えるようにしていきたい。多くの家庭でもっと資産運用を家族で語り合うような環境になれば良い」とした。山崎氏は「『新しいNISA』によって資産運用ビジネスはワンサイズ以上に規模が大きくなる。金融機関は、それに応じた準備をする1年になるが、個人投資家は金融リテラシーを磨くなど、新しい時代に合わせた取り組みが必要だ。特に、50代の方々がポイントになると思う。つみたてNISAで20代、30代の若い層が投資を始めるきっかけになり、一般NISAは60歳以上の資産活用層が使っている。50代は、所得水準も上がり、使えるお金も増える。少し時間が経過すれば退職金も入る。さらに、80代くらいの親のお金についても考える2世代運用を考えてほしい。また、子どもにもNISAやイデコの手ほどきをするなど、50代の方々がお金の運用などについて重要なポジションを担っている。その方々に向けた情報を積極的に発信していきたい」と語っていた。(写真は、対談画面のキャプチャ。左から小松原宰明氏、中央が山崎元氏、右が代田秀雄氏)
ファンドニュース一覧はこちら>>