前のページに戻る
2023/03/30 18:54
ニュートン・インベストメント・マネジメントは3月1日、BNYメロン・インベストメント・マネジメント・ジャパンの日本株チームを統合し、新たに日本法人ニュートン・インベストメント・ジャパンを設立した。この統合は、ニュートン・インベストメント・マネジメントがBNYグループにおいて、グローバル株式とマルチアセットの運用を専門に担当する立場を明確にする取り組みの最終段階になる。ニュートン・インベストメント・マネジメントのグループCEO兼日本法人CEOのユアン・マンロー氏(写真)が来日し、3月30日に国内メディア向けの会社説明会を開催した。マンロー氏は「運用拠点ごとに視点は異なり、世界は全く違って見えるものだ。株式やマルチアセットの運用に特化するニュートンに日本からの視点が加わることは、グローバルな運用体制においても重要なことだ」と日本法人設立の意義を強調した。 BNYメロン・インベストメント・マネジメントは、ザ・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン・コーポレーションの資産運用部門で、運用資産は2022年12月末現在で1.8兆ドルを有する世界の運用会社でトップ10に入る大規模な運用会社だ。傘下に7つのグループ運用会社を抱え、主要資産クラスを網羅したソリューションの提供を行っている。ニュートン・インベストメント・マネジメントは、グローバル株式とマルチアセット戦略に特化した運用会社で、運用資産額は約1000億ドル。ロンドン、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコに拠点を置き、この度、東京にも10名の専門家からなる運用チームを得た。 日本株チームは、BNYメロン・インベストメント・マネジメントで日本株チームを率いてきた黒沢和也氏が、ニュートン・インベストメント・ジャパンの取締役兼ヘッド・オブ・インベストメント、日本株式運用部長として引き続き日本株式戦略を担当する。日本株チームが国内外の投資家から預かる運用資産残高は14.7億ドル(約1900億円)で、その大半は、ボトムアップの銘柄選択による日本小型株への集中投資を行う「日本小型株戦略」が占める。他に、株式、および、先物への投資を通じてリスクを管理することによって中長期の成長をめざす「日本総合株戦略」、そして、女性の経済力の高まりから生じる投資機会の獲得をめざす「女性活力日本株戦略」がある。 マンロー氏は、ニュートン・インベストメントに日本株チームが加わったことによって、「日本株に関するリサーチの知見と小型株についての専門知識が加わり、ニュートンが有するグローバル株式の専門性が強化された」と語る。日本株チームは、ニュートンのロンドンやサンフランシスコ、ボストンなどの運用チームから様々なサポートが得られる一方、日本株チームにもその専門性を欧米チームに還元することを期待している。「投資を考える際には、地域による異なる視点に加え、様々なアングルからマルチに検討・分析する態度が重要。たとえば、ボストンの調査チームは、企業調査においてトップや財務担当者へのインタビューはもとより、既に退職したエグゼクティブ(上級管理職)や現場の労働者からも話を聞くなど、様々な角度から取材し、その企業の本当の力を知ろうとしている。このような態度が、中長期的に競合を上回るパフォーマンスにつながってくると考えている」と語った。 また、日本市場について「現在の運用資産額はスタート地点に過ぎない」として、欧米やアジアで拡大してきたニュートンの事業が日本にも広げることが可能との強い決意を見せた。今回の日本法人の設立にあたっては金融庁の対応が迅速で「外資の参入を促進したいという意志を感じ、そのサポートのレベルの高さに驚いた」と語った。 そして、日本株式市場については、「これまでの局面で注目されなかった国の1つ。これまでは、グローバル株式の全てのフォーカスが米国と中国がリードしてきたソフトウエア産業に向けられてきた。しかし、2022年に人気のあったIT企業等の株価が崩落し、今、どの企業が本当の成長企業といえるのかという再評価のタイミングを迎えている。その中で、これまでは無視されてきた日本にもスポットライトが当たるのではないか」とした。「私たちは、ソフトウエアとエンジニアリング(工学)が統合する分野に大きな可能性があると考えている。たとえば、IoT(モノのインターネット)の分野では機械とソフトウエアが融合することが求められている。電車のドアが壊れることがあると大変なので、壊れそうなことを事前にコントロールセンターで把握して壊れる前にメンテナンスすることなどが求められている。ここでは、エンジニアリングの力が重要であり、エンジニアリングで世界のリーダーといえる日本やドイツ、韓国などが再び注目されることになると考えている」と日本の潜在的な力を評価した。 今後、日本市場には、「IoT」や「フードイノベーション」といったこれからの新しい産業を捉えたテーマ型ファンドを投入する可能性があるとした。世界的に進むデジタル化(DX)の大きな潮流が生産現場や家庭生活などに活用されることで生まれる「IoT」は、環境保全を意識した「グリーン」の側面でも注目されるテーマとして世界的な関心が高い。また、「農地面積が減少する中にあって世界の人口が増えているという現状は、食糧を確保するため農業の生産性を高めることが世界的な課題として強く意識されている」と「フードイノベーション」の成長期待を強調した。さらに、日本国民のリスクに慎重な姿勢を考えれば、「リキッド・オルタナティブ(流動性の高いオルタナティブ)の手法を使ってリスクマネジメント機能を持たせた株式ファンドにもニーズがあるのではないか」と語った。いずれも欧米では先行する商品が優れた運用実績を残しており、その運用手法を取り入れた日本向けの商品も日本株ファンドに加えて日本の投資家に届けていきたいと語っていた。
ファンドニュース一覧はこちら>>