前のページに戻る
2023/04/12 18:00
2022年に債券市場の急激な下落を経験したが、今、投資家にとって債券市場が魅力的な投資機会になっているという。イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)の債券運用部門ポートフォリオ・マネジャーのギルハーム・バロス(Guilherme Maciel de Barros)氏は、「過去のデータを見る限り、2022年のような下落局面は、高いリターン獲得を狙って新興国債券のエクスポージャーを増やすには魅力的な機会である」として、債券の中でも新興国債券に注目したいとしている。新興国債券の利回りは、国債等のソブリン債で1ケタ台の後半にあり、新興国のインフレ率も2022年をピークに沈静化しつつあることから、新興国債券への投資リスクが低減し、利回りの魅力が増してきている。 イーストスプリングのバロス氏は、「これまで債券市場が大きく下落した過去9件の市場イベントを分析すると、イベント発生後の新興国債券市場の『山』と『谷』の平均騰落率は4カ月間で約20%の下落、しかし、『谷』に達してから平均8カ月間で約28%の上昇が見られた。また、『谷』に達してから12カ月間、24カ月間のそれぞれの平均騰落率は28%、49%だった。もし、歴史が繰り返されるなら、新興国債券の潜在的な上昇余地は非常に魅力的なものと思われる」とし、新興国債券に魅力的な投資機会があるとしている。この過去9回の市場イベントは1994年の「メキシコ通貨危機(テキーラ・ショック)以来、2001年の「アルゼンチン通貨危機」や2020年の「新型コロナウイルスのパンデミック」など、歴史的な新興国債券危機を取り上げている。 バロス氏は、過去の新興国債券危機を振り返ると、近年は、市場の動揺と比較して新興国債券の脆弱性が小さくなっていると指摘する。これは、「新興国では外貨準備高が以前より増加し、資本市場へのアクセスが向上した結果、各国の外貨準備金に対する短期債務の割合が低下している」など、新興国のファンダメンタルズが改善し、投資家の新興国債券に対する信頼度が向上しているためだと解説する。ただ、それだけに新興国固有の経済状況の違いを注意深く検討する必要があるとする。実際に2022年にはスリランカとガーナの債券がデフォルト(債務不履行)になるなど、新興国債券市場は国によって異なるリスクがある。 新興国債券ファンドは、時には株式に匹敵するほどの高いリターンを、比較的低いリスクで取ることができる魅力的な投資対象の1つといえる。ただ、新興国市場の脆弱性から市場の混乱期などには、大きな価格下落に見舞われることがある。それだけに、投資するにあたっては慎重な判断と、新興国市場の調査に長けた運用会社の運用商品を選ぶことが重要になる。 たとえば、イーストスプリング・インベストメンツが運用する「イーストスプリング・インドネシア債券オープン(毎月決算型)」は、過去3年の年率トータタルリターンが17.64%(2023年3月末現在)であり、現在運用されている公募ファンドで「国際債券・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」に分類されるファンドの平均6.16%や「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」の8.16%を大きく上回っている。適切な投資対象国を選別できた時のリターンの大きさが注目される。債券市場が歴史的な下落を経験した後だけに、高利回りを実現している新興国債券ファンドも投資対象の1つとして検討したい。(グラフは、「イーストスプリング・インドネシア債券オープン(毎月決算型)」のパフォーマンス推移)
ファンドニュース一覧はこちら>>