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2023/07/10 17:06
金融庁は7月7日、つみたてNISA対象ファンドのリストを更新し、野村アセットマネジメントの「はじめてのNISA(愛称:Funds−i Basic)」シリーズ5本を指定インデックス投資信託に追加した。この結果、対象ファンドは指定インデックス投信が202本、指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)が30本、上場投資信託(ETF)が8本、合計240本になった。この対象ファンドリストは、2024年1月にスタートする新NISAの「つみたて投資枠」の対象ファンドにもなる。今回、「はじめてのNISA」シリーズがリストに加わったことで、一段と新NISAの「つみたて投資枠」を意識した商品リストとしての性格が強くなったようだ。 新たに採用されたのは、「はじめてのNISA・新興国株式インデックス」(信託報酬率:税込み0.1859%)、「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」(同0.05775%)、「はじめてのNISA・日本株式インデックス(TOPIX)」(同0.143%)、「はじめてのNISA・日本株式インデックス(日経225)」(同0.143%)、「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」(同0.09372%)の5本だ。このうち、「全世界株式インデックス(オール・カントリー)」、国内株式インデックス(TOPIXと日経225)、そして、米国株式(S&P500)は業界最低水準の信託報酬率に揃えている。 つみたてNISAの制度利用者の大半がネット証券で低コストの株式インデックスファンドを購入しているという結果になっている。この傾向は、新NISAの「つみたて投資枠」においても、ある程度は継承されるのではないかという見方が強い。もちろん、現在の「つみたてNISA」が年間40万円(月間約3.3万円)という限られた非課税枠であることに対し、新NISAの「つみたて投資枠」は年間120万円(月間10万円)という非課税投資枠に拡大する。毎月3万円の枠では株式インデックス1本だったものが、複数の銘柄を組み合わせてつみたて投資するというやり方に変わるかもしれない。ただ、その際でも、優先的に選択されるのは、運用コストが低いインデックスファンドであろうという見方は変わらない。 このように新NISAを控えて、つみたてNISA対象ファンドのリストに2つの動きが始まっている。1つは、既にリスティングされたファンドの手数料の引き下げの動きだ。インデックスファンドは、特定の株価指数に連動する運用成果をめざすため、パフォーマンスの差異がほとんどない。このため、運用コストを0.001%でも低くして他のインデックスファンドよりもより良いパフォーマンスが期待できるとして選び取られるファンドになることをめざしている。たとえば、「たわらノーロード 日経225」は2023年4月に年0.154%の手数料率を年0.143%という最低水準と同水準に引き下げ、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド」も6月14日付で0.143%に引き下げている。このように、業界最低水準に信託報酬率をさや寄せする動きが「TOPIX」や先進国株式「MSCIコクサイ」、米国株式「S&P500」、全世界株式「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」など主要インデックスファンドで起こっている。 もうひとつの動きは、新たなインデックスファンドシリーズの創設だ。たとえば、6月20日に新規設置された日興アセットマネジメントの「Niつみインデックスラップ」シリーズや今回の「はじめてのNISA」シリーズなどの動きだ。これら、新シリーズは、既存の低コスト・インデックスファンドシリーズの最低水準を超えて低い信託報酬率でファンドを新設するなどの動きをしている。たとえば、「Niつみインデックスラップ世界10指数(安定成長型)」は、株式・REIT・債券の3つの資産のリスクが均等になるように調整するリスクパリティの考え方で運用するファンドながら、信託報酬率は年0.4785%(税込み)と0.5%を下回った。「はじめてのNISA」シリーズも全世界株式インデックスで年0.05%台という信託報酬率で参入した。 現在、低コストのインデックスファンドは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が残高2兆3810億円、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が1兆2668億円、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が1兆219億円、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が1兆207億円など4本のファンドが残高1兆円を超える超大型ファンドに育っている。新NISAによって、さらに残高が拡大していく期待が強いだけに、今後も信託報酬率の引き下げ競争が続きそうだ。(イメージ写真提供:123RF)
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