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2023/07/20 18:00
フィデリティ投信は7月20日、「フィデリティ・日本株セミナー」をメディア向けに開催し、同社の「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)」の運用状況と半導体関連をはじめとしたテクノロジー業界の現状について解説した。ディレクター・オブ・リサーチの王子田賢史氏(写真:左)は「リサーチ部門の選択肢の1つとして『テクノロジー』は必ずあった。テクノロジーによる課題解決や新市場の創設など、非常に魅力的な分野だ」と語り、歴代の日本株テクノロジーアナリストが運用を担当してきた「Jテック+」を紹介した。同投信は、1999年11月の設定で、運用開始から24年目になる。ポートフォリオ・マネージャーのジェンキ・シムセキ氏(写真:中央)は2019年7月から運用を担当し、運用を引き継いでからの4年間でベンチマークとしている日本テクノロジー株価指数(FTSEジャパン・インフォメーション・テクノロジー。アンド・FTSEジャパン・エレクトリカル・イクイップメント・ウィズ・モディファイド・キャップ・ウエイティング・インデックス)を10%程度アウトパフォームする成績を残している。 ジェンキ・シムセキ氏は、テクノロジー株投資について「2019年7月からの4年間で、ベンチマークのテクノロジー株価指数はTOPIX(東証株価指数)を36%アウトパフォームし、当ファンドはベンチマークを10%ほど上回る成績になった。このようなテクノロジー株のパフォーマンスは、中長期では市場全体を上回ると確信している」と、その魅力を語る。その上で、「Jテック+」では異なるタイプの4つのサイクルを適切に捉えて、収益機会を幅広く追求していると語った。 1つは「循環的な成長」で、半導体市況など好況と不況が循環しながら成長する市場で半導体や電子部品、FAなどが入る。また、「独自のテクノロジー循環」で、4Gから5Gに通信規格が変わった時の関連産業の変化など、半導体市況などとは違う独自の需要で起こるサイクル。そして、「安定的」に成長する通信キャリアのような業態もあり、予測することが難しいものの短期間に急速な成長を遂げる「新規市場」もある。「Jテック+」では、ポートフォリオ・マネージャーが半導体や半導体製造装置、FA、電子部品などの「循環的な成長」に関連する企業群を調査・分析してきた経験から、循環的なサイクルのタイミングを細かくみて投資することに強みがあるという。そして、投資ユニバースとして約500銘柄(国内300,海外200:海外銘柄の投資制限はポートフォリオの35%以内)を調査し、中でも確信度の高い40銘柄程度(25〜70銘柄)に厳選して投資する。 運用にあたっては、海外のテックアナリストらと意見交換をする「テック・コール」が2週間ごとに開催されている。また、海外拠点と連携して現地の企業訪問などを行う「テック・トリップ」も再開されたことなどによって、グローバルな調査拠点と各地の有力企業の情報を網羅して日本企業の比較優位性などを吟味しているという。そのようなグローバル比較において「今後、大きく伸びると考えられているAI(人工知能)関連の半導体製造において、日本企業の持つ精密さなどの強みは活きると考えられ、日本のテクノロジー業界の先行きには強気の見通しを持っている」と語った。 また、半導体、半導体製造装置、自動車、自動車部品のアナリストである伴大智氏(写真:右)は、世界の半導体市場が2022年の5730億ドルから2030年には1兆ドルと約2倍に成長するという見通しにある中で、日本政府は2030年までに国内半導体売り上げを3倍にする目標を掲げているを紹介し、「日本の半導体関連産業に大きな成長が期待できる背景の1つ」とした。特に、日本企業が得意とするバッケージ基盤は大きな成長が期待されるが、その中身をみると「GPU」や「サーバ向けCPU」といったAI関連で大きな伸びが期待されるとした。そして、今年の「テック・トリップ」で米国の現地取材を行った結果として「AIについては大きな可能性を感じたが、その関連半導体はNvidia、AMD、Intelなどの大手半導体メーカーばかりが注目されているが、たとえば、Teslaなども独自の半導体開発をめざしているなど、汎用品ではない目的に応じたオーダーメイドな開発も並行して進んでいる」ことなど刺激を受けたと語っていた。(写真は、左から、フィデリティ投信の王子田賢史氏、ジェンキ・シムセキ氏、伴大智氏)
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