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2023/08/08 10:42
DC専用ファンドの2023年7月の純資金流出入額(速報値)は約630億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降32カ月連続になった。流入額のトップは前月と同様に「先進国株式」で資金流入額は前月の約384億円から288億円と減少したものの月間の資金流入額としては高い水準を維持。次いで、「国内株式」の約130億円だった。前月同様に「先進国株式」や「国内株式」に資金が流れる傾向が続いている。一方、「REIT」が約3億円の資金流出で、4カ月連続の資金流出になった。 DC専用ファンド全体の純資産総額は約11兆14億円と前月から約1189億円増加して初めて11兆円の大台に乗せた。残高の内訳は、株式ファンド51%、債券ファンド14%、バランスファンド34%という割合で、前月と比較して株式ファンドが1%ポイント向上した。 (※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない) ■資金流入額ランキングのトップは「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、前月同様に「野村 外国株式インデックスファンド(確定拠出年金)」だった。第2位も前月と同じ「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」が入った。トップ10のうち、8本を先進国株式インデックスに連動するインデックスファンドが占めた。前月は6本が先進国株式インデックスに連動するインデックスファンドだったことから、一段と占有率が高まった。残る2本は、国内株式(TOPIX連動型)のインデックスファンドとバランス型ファンドだった。 過去1年間のトータルリターンでは、先進国株式インデックスは20%程度であることに対して、TOPIX連動型の国内株式インデックスファンドは約23%と高いリターンを残しているにもかかわらず、先進国株式インデックスファンドの人気が引き続き高い。先進国インデックスファンドの人気を支えているのは、株価指数「MSCI−KOKUSAIインデックス」において資産配分比率が7割超を占める米国株式の将来性への期待感といえる。一般の公募投信のつみたて投資でも米国「S&P500」に連動するインデックスファンドの人気が高い。しかし、米国株式市場優位の展開が今後も長きにわたって継続すると決まっているわけでもないことを考えると、日本株ファンドなどパフォーマンスが優位にある他のファンド群に物色の人気が回らないのは奇異な印象がする。 ■トータルリターンのトップは「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月まで5カ月連続でトップだった「DCダイワ中小型株ファンド」が第2位に後退し、前月は第2位だった「クスリのアオキホールディングス株式F(DC)」がトップになった。前月は第3位だった「野村 国内株式アクティブ(確定拠出年金)」が4位に後退し、第3位には「野村DC日本株式アクティブファンド」が入った。また、第5位には「ノムラ・ジャパン・オープン(確定拠出年金)」が入り、トップ5のうち4ファンドを野村アセットマネジメントの日本株ファンドが占めている。 なお、4月、5月と同様にトップ10を日本株式で運用するファンドが占めたが、ランキングされているのは、引き続き、全て国内運用会社が運用するアクティブファンドになっている。運用成績は良いものの、運用コスト(信託報酬)もインデックスファンドと比較すると高い。インデックスファンドが年0.15%程度になっているところ、アクティブファンドは1%前後から1.5%程度になってしまう。ただ、パフォーマンスをみれば、インデックスファンドが過去1年間で約23%のトータルリターンのところ、アクティブファンドのパフォーマンス上位では同30%を超えるリターンを記録している。パフォーマンス上位のファンドでは信託報酬率の差を大きく上回るリターンになっていることになる。信託報酬が低いファンドを選ぶというのは、長期投資の基本であるが、信託報酬を考慮してもなお魅力的なパフォーマンスを残しているファンドがあることは留意したい。(グラフは、DC専用ファンドの資産クラス別資金流出入の状況)
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