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2023/09/08 15:45
確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)や確定給付企業年金(DB)など私的年金制度の制度改定について議論している社会保障審議会企業年金・個人年金部会は9月8日、「働き方・ライフコースに対応し公平で中立的な私的年金制度の構築について」をテーマに議論した。加入可能要件の緩和、確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ、また、受給方法の多様化など、より国民が使いやすい制度にするための意見が多く出された。 同部会では、経済・社会の変化に伴う私的年金制度の在り方について、「多様な働き方の中で、早期から継続的に資産形成を図ることができるようにする」ことが重要と位置付けている。その上で、「個々の事情に応じて、多様な就労と私的年金・公的年金の組み合わせを可能にする」ことをめざす。主な検討課題は、「国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築(加入可能要件、拠出限度額、受給方法などの拠出時・給付時の仕組み等)」、「私的年金制度導入・利用の阻害要因を除去し、より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備(制度のわかりやすさ、手続等の簡素化等)」、「制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備(投資教育・指定運用方法の検証、自動移管金対策等)」などとしている。 8日の議論では、「私的年金制度の構築」について取り上げられ、拠出限度額や一時金に偏っている給付の課題などに意見が活発に出された。特に、老齢給付金の受給については、iDeCoの場合、60歳時に約6割が、ほぼ一時金で受給している実態があり、「老後の資金として年金受給などが広がることが望ましい」という意見が多く出された。また、加入可能年齢の引き上げを検討すべきという意見があり、拠出限度額については、企業型DCも含めて「公的年金の所得代替率の低下、高齢化の進展、また、インフレなどを背景に拡大することが望ましい」ものの、「税制の問題もあるため、拠出時、運用時、給付時を一体として考えるようにしたい」という意見があった。 一方、現在のところ、年金の受給が約9割の加入者が一時金で受け取っていることについては、「英国でも年金の一時金での受け取りが問題視されたものの、投資教育や投資ガイダンスの充実によって徐々に年金受け取りなど受給方法の多様化が進んだという例がある」として、投資教育の充実等によって、制度運営をより良くしていくことも重要という意見もでた。 今後は、引き続き制度構築に向けた議論を行っていくとともに、制度の理解促進のための環境整備や国民の資産形成を促進するための環境整備などの議論を進める予定だ。(イメージ写真提供:123RF)
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