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2023/09/13 17:36
アムンディ・ジャパンは9月12日、アムンディ・インスティテュートが作成した「グローバル・インベストメント・ビュー」の2023年9月号を公開した。このレポートで、中国の予想GDP成長率を下方修正するとともに、バリュエーションが割高な水準になっている米国株に警戒した。そして、現状は「割高な資産が多い」と分析し、個々の投資対象を選別し、クオリティを重視して投資すべき局面だとしている。 アムンディは、中国のGDP成長率を2023年は7月予想の5.1%を4.9%に、2024年は4.3%を3.7%に、2025年は3.9%を3.4%にそれぞれ引き下げた。成長率の鈍化は中期的に続くとみており、それは、「不動産セクターの急激な調整は、まだ終わっていない」という見方からだ。「成長を効果的に回復されるためには大規模な財政緩和策が必要であるが、その時期は極めて不透明であると考えている」としている。そして、景気減速の中で中国にはデフレ・リスクが高まっていると分析している。一方、中国の低迷をしり目に、新興国ではラテンアメリカ(ブラジルとメキシコ)、インド、インドネシアが中国の成長鈍化を補って成長する国として注目されるとみている。 また、世界の製造業PMI(購買担当者景気指数)は低下傾向にあり、中でもユーロ圏と英国の低下は顕著になっている。ユーロ圏と英国ではサービス業PMIも50を下回る水準に低下してきたことから、欧州での景気後退リスクが急速に高まっているとみている。米国も景気先行指数が景気後退リスクを示唆しており、今後の経済見通しは決して強くないという見方だ。2023年と2024年のGDP成長率は、米国が2.1%から0.3%に低下する見通しで、ユーロ圏は0.6%から0.5%、英国は0.5%から0.5%という見方だ。現在の米国株式市場は、経済成長の鈍化懸念を織り込んでいないため注意が必要としている。 このように先進国の成長率が2024年にかけて低下し、新興国の国別成長力に格差が出てくることが見通されている。アムンディは、「成長とインフレの不確実性が高く、バリュエーションのミスプライシングを伴っているため、ダイナミックな資産配分アプローチを選好し、実物資産やオルタナティブ資産による分散投資を強化する」ことが重要とする。そして、「金利が過去数十年で最も高い水準にある中での減速シナリオでは、クオリティとキャッシュに焦点を当てた債券を選好」という。さらに、高インフレと成長率の鈍化が背景にあっても成長を持続できる「強固なバランスシートを持つ、回復力の高い企業の株式を選定することが重要」であり、「新興国市場に注目すべき」、「ネット・ゼロへの方向性と投資への影響を評価することは重要な優先課題」と、投資価値のある資産に選別投資することの重要性を強調している。(イメージ写真提供:123RF)
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