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2023/09/25 19:21
社会保障審議会企業年金・個人年金部会が9月25日に開催され、「私的年金制度の普及・促進」をテーマに議論した。「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「企業型DC(確定拠出年金)」、「iDeCoプラス」、あるいは、「DB(確定給付企業年金)」などの手続きの簡素化、加入者範囲、年金の見える化、広報のあり方などについて議論した。 議論のテーマは、「iDeCoの手続簡素化・効率化」、「iDeCoプラスの導入推進関係」、「加入促進に資するDB・企業型DCの制度見直し」、「周知広報」、「iDeCo拠出可能額の見える化」、「年金資産及び給付見込み額の見える化」、「ポータビリティの拡充」をテーマに掲げて幅広い意見が出された。 「iDeCoプラス」についての意見が多く出された。「iDeCoプラス」については、現在のところ、iDeCo制度の拡張プランとして実施されており、企業が成長・拡大した段階では、企業型DC、総合型企業DC、簡易型企業DCなど企業型のDCに移行していくことが想定されているが、「ベンチャー企業が成長した後にもiDeCoプラスが継続できる仕組みを検討できないか」という意見があった。また、現在、iDeCoプラスについては、「従業員数300名以下」の企業が対象となっており、この範囲をより広くする必要があるかという論点があるものの、「現在の基準によって事業数ベースで99.4%、厚生年金被保険者ベースで55.4%をカバーしているため要件の拡大には慎重であるべき」との意見もあった。さらに、簡易型DCについて採用実績がないのであれば、制度を廃止して「iDeCoプラス」のように導入が進んでいる制度などに資源を集中させた方が良いとの意見もあった。 「周知広報」活動では、現在も様々な広報活動を行っているという実例の紹介があったものの、「誰に対して、どのような情報をとどけるのかを整理し、商法対象者を具体的にイメージした戦略的な広報のあり方を検討すべき」との意見が強く出た。中でも、「学生向けの年金制度の情報提供は、学生の関心も高い」という指摘があった。また、広報宣伝を広く行うことよりも、「相談窓口を設けるなど、具体的な検討を始めた企業等が実施に向けた具体的なアクションを知ることができるような取り組みを拡充させた方が良い」という意見もあった。 また、「同一労働、同一賃金」のガイドラインがある中で、企業年金においては非正規雇用の労働者の多くが制度の加入対象者になっていない現状を改善すべきとの意見があった。そして、年金制度のポータビリティを確保する上で、現在は「法令上は商品の現物移管を妨げていない」という状況にあるものの、「実際に運営管理機関の変更などを検討する際に、現物移管が難しいということが運営管理機関変更のネックになるケースもある」という指摘もあり、投資信託、定期預金、保険商品等の運用の方法ごとに、どのような制約があるのか、より具体的に問題点を明らかにし対応策を示していくことが重要という意見があった。 次回は、国民の資産形成を促進するための環境整備などを中心とした議論が行われる予定で、投資教育・指定運用方法の検証、自動移管金対策、運用体制・手法の検証などが議論の対象になる見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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