前のページに戻る
2023/10/11 17:51
つみたてNISAの対象ファンドリストが10月4日に更新され、新たに「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投信等)」に、「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」が加わった。同ファンドは、米株価指数「NASDAQ100」に連動することをめざすインデックスファンドだ。従来の積立投資の主力商品として活用されてきた「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」などと比べて、指数構成銘柄数が100銘柄と絞り込まれた指数であるため、個々の株価変動の影響を受けやすく、価格変動率が高いという特徴がある。同ファンドは、現在、2024年1月からの新NISAにおいて「成長投資枠」の対象銘柄として登録されているが、今後は「つみたて投資枠」(上限1800万円)でも活用が可能になると考えられる。それぞれの指数の特徴を活かして活用したい。 「NSDAQ100」指数は、米国のナスダック市場に上場している時価総額の大きい非金融業100社の株式で構成される株価指数で、「S&P500」がNYSE(ニューヨーク証券取引所)も含む米国の取引所に上場する株式を対象として金融も含む幅広い業種から代表的な企業を選ぶ指数であることとは、対象市場や業種の範囲が異なる。このため、情報技術系の企業が中心になっている「NASDAQ100」と幅広く分散した「S&P500」では、同じ銘柄を採用していても資産配分比率(指数の中でのウエイト)が異なる。 たとえば、世界で最も時価総額が大きい米国の「アップル」や、第2位の「マイクロソフト」は、いずれも「NASDAQ100」、「S&P500」の構成銘柄だが、その組み入れ比率(2023年8月末)は、「アップル」は「NASDAQ100」では10.5%、「マイクロソフト」は8.7%を占めるものの、「S&P500」では、「アップル」は7.4%、「マイクロソフト」は6.5%になる。これがさらに投資対象が広い「全世界株式(オール・カントリー)」になると、「アップル」は4.5%、「マイクロソフト」は3.5%にまで低下する。組み入れ比率が大きくなればなるほど、その個別銘柄の株価変動がインデックスの動きに与える影響は大きくなる。 このような、価格変動の影響は、代表的なインデックスファンドのパフォーマンスを振り返っても明確だ。2023年9月末時点を基準に過去3年間の標準偏差(リスク)をみると、「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は20.61であり、これは、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の15.78、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」の14.26を上回っている(標準偏差の数値が大きいほど価格変動率は大きい)。一方、3ファンドの3年(年率)トータルリターンは、「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」の22.65%に対し、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は23.59%、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」は20.23%という結果だった。 過去3年間の成績では、トータルリターンノ水準は3ファンドともに年20%を上回る大きなリターンを獲得し、「S&P500」に連動するインデックスファンドがリスク当たりのリターン(シャープレシオ)が一番優れている(より少ないリスクで高いリターンを得ることができた)といえる。また、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」は3つのファンドの中では、最も価格変動率が穏やかだった。より幅広く分散投資する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」がもっともリスクが小さく、かつ、パフォーマンスもやや低い結果だった。もっとも集中投資をしている「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は、リスクの水準こそ高かったものの、リターンでは「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の後塵を拝してしまった。株式も債券も下落するという厳しい環境だった2022年に落ち込んだリターンを2023年9月末までには十分に回復できなかったということだろう。 このように、個々のインデックスによってインデックスファンドの値動きは異なるものになる。それぞれのインデックスファンドの値動きの特性を理解した上で、投資する銘柄を選定したい。 なお、「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は、10月2日に発表された新NISA成長投資枠対象ファンドに入っているものの「つみたて投資枠」の非対象ファンドになっている。今回、つみたてNISAの対象ファンドに登録されたことで、「つみたて投資枠」でも活用できるようになるだろう。新NISAの成長投資枠は限度額が1200万円であり、制度の上限1800万円をフルに活用するには「つみたて投資枠」、すなわち、つみたてNISAの対象ファンドに登録されたファンドの活用が必要になる。つみたてNISA制度で設けられた指定インデックスではない「NASDAQ100」に連動するインデックスファンドが、つみたてNISAの対象ファンドになるには、運用資産残高が50億円以上で5年以上の運用実績があり、かつ、その間の資金流出入で3分の2以上で流入超であるという非常に厳しい条件を満たす必要がある。新NISAによって、この条件をクリアするだけの価値があることが明確になった。新NISAを有効に活用する手段の1つとしても「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は検討できるだろう。(グラフは、主要な外国株式インデックスファンドの過去3年間のパフォーマンス推移)
ファンドニュース一覧はこちら>>