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2023/10/20 16:57
アムンディ・ジャパンは10月19日、アムンディ運用戦略ウェビナー「最近の日本株市場動向とターゲット・ジャパン戦略(小型バリュー)の魅力」を開催した。同社の株式運用部長の石原宏美氏は、「アムンディのグローバル経済見通しでは、2024年の経済成長率が米国+0.3%、ユーロ圏+0.5%と低成長を予測する中にあって日本は+1.5%と相対的に高い成長を見込んでいる」とし、堅調に推移する日本株は来年も期待できると語った。また、「アムンディ・ターゲット・ジャパン戦略」の運用戦略ヘッドの春川直史氏は、「当戦略は日本の中小型株でバリュー投資をしているが、企業とのエンゲージメント(戦略的対話)によって企業の価値を独自に判断している。下げ局面で強い下値抵抗力のある当戦略に注目していただきたい」と語っていた。 石原氏は、現在の日本株市場(MSCIジャパン)について、「2023年は年初から堅調な展開が続き、米国をも上回るパフォーマンスだった。しかも、バリュエーションは米国がPER(株価収益率)で約20倍で取引されているところ、日本は15倍程度であり、依然として割安感がある。これは、日本企業の『稼ぐチカラ』が向上していることが背景にある。日本企業のEPS(1株当たり利益)は2012年以来で最高の水準にあり、今年に入っても最高を更新している。この業績の進展を株価はまだ織り込んではいないと考えられ、引き続き日本株にはチャンスがある」と語った。 その上で、日本株のバリュー戦略について「年初来の日米欧バリュー指数のパフォーマンスはいずれも好調(現地通貨ベース)だが、10月9日現在で、ほぼ横ばいの米国、+10%の欧州に対し、日本は+35%程度と突出している。先進国では金利上昇でバリュー株選好の動きになっているが、日本は選好の度合いが一段と強い。引き続きバリュー選好の地合いになると予想される」とした。そして、「日本株の買い材料である(1)インフレと賃上げの継続、(2)日本企業のガバナンス改革――の流れには変化がない。たとえば、ガバナンス改革についてPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業のPBRやROE(自己資本利益率)の改善策について情報開示したのは20%程度の企業にとどまっている。変化を促す動きに対し、これから企業の変化が現れる局面」と分析した。 「アムンディ・ターゲット・ジャパン戦略」は、4名のポートフォリオマネージャーが自ら企業訪問し、経営陣と対話をしながら企業評価をし、割安で、かつ、財務内容が良く、株主還元の期待度が高い企業を選別投資する戦略だ。年間取材件数は900件を超え、エンゲージメントミーティング件数は2022年の実績で114件になる。また、4人はそれぞれ担当業種を3年ごとに変更し、1つの企業に対し、様々な目線で総合的に評価できるような調査体制としている。運用チームのヘッドを務める春川氏は2004年から同戦略を担当し、4人のうち3人が15年以上にわたってチームに所属している。 同戦略のパフォーマンスは、2000年9月の運用開始から2023年8月末現在まで開始いらいの年率リターンが11.00%と同期間の「TOPIX配当込み」の3.78%を大きく上回っている。同戦略は過去3年では年率19.22%、5年では年率9.03%で、それぞれ「TOPIX配当込み」の15.71%、8.70%を上回っている。特に、2000年9月から2023年9月末まで277カ月間の実績でTOPIXの月次リターンが2%以上のマイナスになった78カ月において、62カ月でTOPIXをアウトパフォームしている(勝率79%)という実績が同戦略の特徴を表している。同戦略を採用している主な国内の公募投信は、2000年8月末設定の「アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド」、2009年5月29日設定の「日興ターゲット・ジャパン・ファンド」がある。 春川氏は、同戦略の特徴として「投資先は時価総額が3000億円以下の中小型株がメインで、2023年9月末時点で投資している81銘柄の中で、28銘柄はセルサイドアナリストのカバーがゼロ、13銘柄が1社だけカバーしている状況。組み入れ銘柄の半数がアナリストカバーがほとんどない銘柄になっている。一般の注目度が低いだけに、実力以上に株価が割安に放置されている。これら企業の価値に市場が気が付いて株価の水準訂正が実現したら、全売却して他の割安株に投資するということを繰り返している」という。運用の仕組みでシンプルなだけに、パフォーマンスの再現性も高いとした。そして、日本の市場では、世界的に進む「パッシブ化の流れ(アクティブファンドよりもインデックスに連動したパッシブファンドを選好する)」が極端に進んでいるため、「割安な銘柄が、より割安になるという市場の非効率性が進んだ状態になる。これは、個々の企業取材を通じて確信を持って選別投資しているアクティブファンドに魅力的な投資環境といえる」と語っていた。(グラフは「アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド」のパフォーマンス推移)
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