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2023/10/24 19:09
10月23日に「iFreeNEXT FANG+インデックス」がつみたてNISA対象ファンドに登録された。同ファンドは、米国のフェイスブック(メタ・プラットフォームズ)、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)など代表的なIT企業10社をパッケージにしてNYSE FANG+指数に連動することをめざすインデックスファンドだ。一足早く登録された「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」と合わせて、米国株投資にアクセントのある運用成績が期待できるファンドだ。つみたてNISAに採用されたファンドは、新NISAの「つみたて投資枠」で活用が可能になる。 「iFree」シリーズは、「S&P500」など代表的な株価指数に連動するインデックスファンドや資産複合型バランスファンドなどを取り揃えた低コストのファンドシリーズで、その兄弟ファンドシリーズといえる「iFreeNEXT」は、特徴のある成長分野に着目した個性あるインデックスファンドシリーズになっている。 「iFree」シリーズで、つみたてNISAの投資対象ファンドになっているインデックスファンドは、「iFree TOPIXインデックス」、「iFree 日経225インデックス」、「iFree JPX日経400インデックス」、「iFree NYダウ・インデックス」、「iFree S&P500インデックス」、「iFree外国株式インデックス」(為替ヘッジあり)(為替ヘッジなし)、そして、「iFree 新興国株式インデックス」になる。これに加えて、「iFree 8資産バランス」がある。このうち、「iFree NYダウ・インデックス」は、つみたてNISAの指定インデックスではないため、アクティブファンドと同じ分類の「指定インデックス投資信託以外の投資信託」に分類されている。 そして、「iFreeNEXT」シリーズは、「iFree NYダウ・インデックス」と同様に「指定インデックス投資信託以外の投資信託」に分類され、冒頭に紹介した2ファンドがつみたてNISAの対象になっている。 ここで、米国株を主たる投資対象にしたインデックスファンドで、つみたてNISAの投資対象として採用されたファンドのパフォーマンスを比較すると、「S&P500」に連動する「iFree S&P500インデックス」と、MSCIコクサイ指数に連動する「iFree外国株式インデックス」、そして、「NYダウ」に連動する「iFree NYダウ・インデックス」は比較的似たような値動きをしている。もちろん、米国の代表的な大型株500銘柄に分散投資する「S&P500」と、S&P500の中から米国を代表する30銘柄をセクターの配分にも考慮して選ばれた「NYダウ」では、その時々の経済環境や市場の物色動向によって異なった動きをする。しかし、ここに「NASDAQ100」や「FANG+」を加えて比較してみると、その値動きの違いが際立つ。 たとえば、9月末時点を起点として過去1年間のトータルリターンは、「iFree S&P500インデックス」が23.53%に対し、「iFree外国株式インデックス」は24.54%、「iFree NYダウ・インデックス」は21.00%と、揃って20%台前半の成績だった。ところが、「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は36.37%、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は58.91%という高パフォーマンスになっている。これは、2022年に1年間で「iFreeNEXT FANG+インデックス」がマイナス31.44%という大幅安となり、この間は「iFree S&P500インデックス」はマイナス6.25%にとどまるなど、前年の落ち込みの違いなども反映された結果といえる。 過去3年間のパフォーマンスを振り返ると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は米国株式市場が下落局面にある時には、「S&P500」などよりも大きく下落し、反対に上昇局面ではより大きなリターンを記録するという値動きになっている。「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は、「iFreeNEXT FANG+インデックス」ほど値動きの幅は大きくはないものの、「S&P500」よりも大きなフレ幅で動いている。このような大きな値動きをする性質があると、積立投資によって継続的に購入していくと、より大きく下落した場合に、より大きな口数を購入できるなどのメリットが得られる場合がある。 今回比較した5つのファンドは、結果的に3年間の年率リターンは22%〜24%程度に集約され、大きな差はなかった。それぞれが同じようにプラスのパフォーマンスを残したファンド群では、その過程で、より大きな価格のブレがあったファンドの方が、積立投資の投資成果は高くなることが多い。たとえば、「iFreeNEXT FANG+インデックス」を3年間にわたって毎月1万円の積立投資をした場合、元本36万円に対し2023年9月末時点の評価額は52.66万円だ。これは、同時期の「iFree S&P500インデックス」の47.58万円を上回っている。 市場が下落する局面では、「iFreeNEXT FANG+インデックス」はS&P500を上回る下落率でマイナスリターンになっているので、米国株式市場が下落する基調にある場合は、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、「iFree S&P500インデックス」よりもより厳しい運用成績を耐えなければならないことになる。その点では、「iFreeNEXT FANG+インデックス」への投資判断には、米国の企業業績が上向いているのか、中でもIT産業の業績は良いのかなど、より専門的に情報を求める姿勢が重要になる。 2024年から始まる新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の枠の違いを問わず、積立投資による長期の資産形成が軸になると考えられている。長期投資で良い良い成績をめざすため、より低コストのインデックスファンドが選好されるというのが大方の見方だ。今回見たように、同じように米国株式を主たる投資対象としたインデックスファンドであっても、そのパフォーマンスには個性がある。これら性格の違いを踏まえて、自身のリスク許容度や投資目的に相応しい投資対象を選択したい。(グラフは、米国株式を主たる投資対象にした「iFree」シリーズの過去3年間のパフォーマンス推移)
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