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2023/11/30 18:54
ニューヨークの金先物市場で、11月下旬に金価格が2000ドルの大台を超えた。これは、今年5月以来、6カ月ぶりのことだ。米国でインフレ懸念が高まった2021年から金価格は強くなったものの、株価が大幅に上昇した動きに比べれば穏やかな価格上昇にとどまってきた。株価と金価格の動きには強い相関関係はないため、株価が横ばいの中で金価格が動いていも何ら不思議はないのだが、インフレが収まりつつあり、金利もピークアウトしそうだと言われる中での金価格の上昇には、何か不気味な印象を受ける。資産形成の保険の意味で、金の現物を裏付けとした金ファンドを一部保有することも考えたい。 「ゴールド」と名前のついたファンドでも、その内容は異なる場合がある。「三菱UFJ純金ファンド」は、金の現物資産を保有するETFに投資するファンドであるため、金の現物に投資することに近い。投信ではなく、金の現物を保有する金ETF(外国籍)を直接購入するという方法もある。「ゴールド・ファンド」は、金の先物に投資するファンドで、金の現物は保有しない。「iシェアーズ・ゴールドインデックス」は、金価格の動きを表すインデックスであるLBMA金価格に連動する運用成績を目指すインデックスファンドだ。 一方、「ブラックロック・ゴールド・ファンド」は、金鉱山の経営やそれに関わる企業に投資するファンドで、ゴールドと名前はついているが、金そのものではなく、株式に投資するファンドといえる。もちろん、金価格が上昇すれば、その関連企業も潤うだろうから金関連の資産ではあるのだが、株式投資のヘッジとしては弱い。 株式投資へのリスクヘッジとしての金投資を考えるのであれば、できるだけ金の現物に近い商品を購入するようにしたい。株式投資のリスクヘッジ手段として以前は債券が選ばれて、株式6割と債券4割の投資比率での組み合わせが、資産を増やすベストな組み合わせなどといわれた時期もある。ただ、近年の大幅な金融緩和政策などの影響で、株価と債券価格の連動性が高まってしまった。実際に2022年は、株式市場も債券市場も一緒に下がってしまって、株式と債券に分散投資するバランスファンドの成績も悪かった。 このように株式や債券などの有価証券への投資が、連動性を強める中にあっては、金などの限られた資源という不変の価値を持つ資産の存在が際立ってくる。もっとも投信も有価証券であるため、より強い安心を得たいのであれば、金の現物を買って金庫に仕舞い込んでおくということになる。しかし、これは保管したり、盗難に備えるためにコストがかかってしまうので、ヘッジ手段としては難しいところだ。 インフレ対策として、こ2年間で急速に引き上げられた米国の金利は、既に短期金利が5%を超える水準にある。長期金利は4%台で将来の景気後退を市場は見越している。景気後退が緩やかに進むものであれば、それほど大きな心配はいらないが、ドスンと悪化するようなことになれば、株価は相当のダメージを受けると考えられている。株式投資にリスクペッジを忘れてはならない理由だ。(グラフは、「三菱UFJ純金ファンド」と主要な株価指数の推移)
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