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2024/01/17 18:18
2024年の市場がスタートし、2023年を席巻した米国の「マグニフィセント・セブン」のような今年のリーダーがどこになるかが注目される。日本株が大きく値上がりしてスタートした一方、米国株は高値圏でのもみ合い。昨年に引き続き中国・香港株は弱く、欧州株も勢いがないようにみえる。その中で、インド株は堅調にスタートしている。昨年に人気を集めたインド株のインデックスファンド(SENSEXに連動めざす)「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド『愛称:サクっとインド株式』」は、昨年末の基準価額1万277円が1月16日には1万655円に上昇。 また、もうひとつの代表的なインデックス「Nifty50」への連動をめざす「iFreeNEXT インド株インデックス」の基準価額も年末1万3092円から1万3677円に上昇している。今後の見通しについてアジアに充実した調査・運用拠点を置いているイーストスプリング・インベストメンツは、「インド消費市場の台頭がもたらす投資機会」と題したレポートを発表し、インドの個人消費の力強い成長についてレポートしている。 ここ数年の経済成長率の見通しでインドの成長期待は群を抜いている。世界銀行の2024年度のインド経済成長率の見通しは6.4%と、世界全体が2.4%成長を見通す中で、頭一つ抜け出した存在だ。2025年も6.5%成長とインドは堅調な経済成長が継続する見通した。そして、2006年から2023年までインドの経済成長率は年平均6.21%という世界最高水準の成長を実現し、イーストスプリングは「インドの力強い経済成長は家計支出を一変させている」と伝えている。2021年にインドの1人当たり家計支出は7.1%の伸びと、ASEANの5.2%増を大きく上回り、今後も年平均7.8%増での成長が期待され、2027年にはインドの世帯の約25.8%が年間可処分所得1万ドルを超えるとみられている。インドでは中間所得層(年間可処分所得が5000ドル以上3万5000ドル以下)の急拡大が注目され、現在、アメリカを抜いて世界最大の中間層市場を持つといわれている中国を今後10年の間で追い抜くとみられている。 そして、イーストスプリングはレポートで、「国が豊かになった結果、インドではこれまでの消費者とは異なる新たな消費者が台頭している。新たな消費者は購買に品質、多様性、利便性を求める傾向があり、体験型の商品への消費にも積極的。また、自分たちの価値観に沿った社会問題や環境問題への意識も高いという特徴がある」と指摘する。この消費行動の変化を「プレミアム化」と紹介しているが、「プレミアム化は、ファッション、自動車、食品・飲料など、複数のカテゴリーで見られる」と、インドの消費市場全体の変容があるとする。さらに、デリーやムンバイなど人口400万人以上を擁する大都市だけではなく、それよりも規模が小さいジャイプールなどのティア2(400万人未満)、さらに、100万人未満のティア3都市にまで「プレミアム化」の流れが波及しているという。 「プレミアム化」は、自動車販売の現場では「プレミアム車(70万ルピー以上)」の販売台数の伸びが「エコノミー車(70万ルピー未満)」を大きく上回るという顕著な変化となり、アパレルや酒類の販売もエコノミーよりもアッパーやラグジュアリーといわれるプレミアム商品の販売が好調になっている。このような個人消費の「プレミアム化」は、当然、そこに商品を提供する企業にとっては利益率の向上が期待され、インドの小売りや消費関連メーカーに大きな恩恵となると期待される。 さらに、イーストスプリングでは、インドの消費市場の進化として「デジタル化」と「都市化」をあげている。現在、インドの小売市場におけるオンライン販売のシェアは5%程度(2022年)に過ぎない。これは、インターネットユーザーが十分に定着していないこと、また、物流などのインフラが先進国や中国などに比べて遅れていることなどが背景になっているが、「インドにおけるオンライン小売の市場浸透率は今後5年間で9〜10%へと倍増すると予想されている」とネット販売の拡大を見通す。その根拠として「インドのオンライン購入の顧客は中高年、高所得層、ティア1都市の出身者が中心だった。しかし現在では、生まれたときからインターネットが普及している『Z世代』やティア2以下の都市の消費者にも広がるようになった」とネットユーザーの拡大をあげている。 また、「都市化」については、「インドの都市人口が総人口に占める割合は、2001年の28%から2020年には35%に増加し、2030年には40%に達する」という世界銀行の予測を引き合いに、農村部よりも賃金が高く、雇用機会も多く、教育や医療へのアクセスも良い都市部に生活することによって「都市部の消費者の所得水準と購買力が高まり、耐久消費財、娯楽、旅行、パーソナルケアなどの裁量的支出に費やす余裕が生じることになる」と消費の多様性と拡大を促すと見通している。そして、イーストスプリングのレポートは「インドの消費市場は2027年までに世界第3位の規模に成長することが予想されており、投資家はインドの消費者のニーズの変化を理解し、それに対応できる企業に投資することで、この大きな成長を投資機会として活用することができる」とインドの消費市場に大きな投資チャンスがあると締めくくっている。 インドの消費関連企業に投資する「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」は、年初から堅調な値動きになっている。過去3年間の動きをみても「MSCIインド(配当込み、円ベース)」などインデックスを上回るような成績になっている。今後にも期待が持てるカテゴリーとしてインドの消費関連に注目していきたい。(グラフは、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」の過去3年間のパフォーマンス推移)
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