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2024/03/21 18:03
アムンディ・ジャパンは3月21日、「アムンディ運用戦略ウェビナー 最高値更新後の日本株市場の見通し 〜上昇相場における小型バリュー戦略の位置づけ〜」を開催し、同社株式運用部長の石原宏美氏が足元の日本株市場を取り巻く環境や今後の見通しについて語った。石原氏は、「年初来の日本株上昇には外国人投資家の資金流入が加速していることの影響が大きい。このため、日本株にも米国の『マグニフィセント・セブン』や欧州の『Granolas(グラノーラス)』といわれるような一部の大型株への一極集中物色が起きている。このため、歴史的に割安となった小型株に投資機会がある」と語り、TOPIX(東証株価指数)の中でも「Core30」という大型株指数に採用されるような銘柄が主導して上昇してきた日本株の今後の展開への備えを強調した。 石原氏は、日本株上昇の背景について、(1)賃上げ、(2)設備投資の拡大、(3)東証改革――の3つの点を取り上げた。賃上げについては、昨年に引き続き今年も大企業を中心に賃上げが実施され、昨年と違って今年は物価上昇率が緩やかなため、「昨年まではインフレを考慮した実質的な賃金はマイナス成長だったが、今年は実質賃金が3%程度のプラスに転じる見込みで、これが国内消費を刺激して景気拡大を後押しする」とみている。そして、国内の設備投資は2023年実績の90兆円が、経団連の設備投資目標は2027年に115兆円規模を目指して拡大する見通しにある。また、昨年3月に行われた東証の要請をきっかけにした市場改革は、着実に進展し、自社株買いや持ち合いの解消が進んでいる。「一般に自社株買いは、株価が低迷している時に実施される傾向が強いが、今年は年初から株高が続いているにもかかわらず、自社株買いのペースが加速している。これは、経営者の意識が変わった影響と考えられ、昨年来の市場改革が着実に企業の行動を変えていることが実感される」と現状を評価した。 引き続き、日本経済や日本株が堅調に推移すると見込まれるとした上で、石原氏は「国内の中小型株が株価指標の面で歴史的な割安になっている」と指摘する。たとえば、国内の超大型株で構成される「TOPIX Core30」と「TOPIX小型」を比較すると、過去15年平均に対して「TOPIX小型」は20%程度割安な水準にある。また、昨今の賃上げの背景でもある国内の深刻な人手不足は、過去20年で最大といわれるが、過去には失業率が低下する過程では小型株指数が上昇したという経緯もあり、現在の人手不足が小型株への活躍期待を高めるとした。また、賃上げによって国内消費が活性化すると内需関連企業が多い中小型株の業績向上にもつながると期待していた。 「アムンディ・ジャパン・ターゲット戦略」は、国内の上場株式の中から株価が割安で財務の健全な企業をピックアップし、ボトムアップによる企業調査に加え、企業価値向上のための積極的な投資先企業との対話によって企業価値の向上に主体的にかかわっていくという投資行動をとる。株価の割安度の判定では、PBR(株価純資産倍率)を重視し、財務の健全性、株主還元余力の大きさなどからスクリーニングして200〜300銘柄に絞り込む。その上で、年間900社におよぶ企業取材やエンゲージメントによって、「キャッシュの使い方」、「株主を向いた経営をしているか」、そして、「主要ビジネスの競争力」などを確認し、50〜100銘柄でポートフォリオを構築している。 このような観点で構築したポートフォリオは2024年2月末現在、PBRはTOPIXの1.47倍に対し、0.81倍という割安水準にあり、修正負債比率もTOPIXの79.3%に対し、20.0%と財務の健全性も確保され、時価総額に対する配当可能比率もTOPIXの22.2%に対し、54.3%と株主還元余力も十分にある銘柄群でポートフォリオを構築することができている。そして、そのポートフォリオは、時価総額が200億円以上、5000億円未満の中小型株が75%程度を占めている。これは、TOPIXが時価総額5兆円以上という大型株が45%を占めているという構成とは明確に異なるポートフォリオになっている。 この「アムンディ・ジャパン・ターゲット戦略」を使った「アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド」は、2月末現在でウエルスアドバイアーが区分する「国内小型バリュー」のカテゴリー10本中で過去1年間のトータルリターンがトップの運用成績をあげている。この期間にTOPIXのトータルリターン34.24%にはわずかに及ばない32.85%というトータルリターンの水準だが、「TOPIX Core30」がけん引してきた市場を考えれば、健闘した運用成績をあげているといえよう。なお、過去3年(年率)トータルリターンでは17.17%とTOPIXの12.80%を上回るが、過去5年(年率)では10.44%とTOPIXの10.73%を下回っている。今後、出遅れている中小型株への物色意欲が高まれば、TOPIXを上回る成績をあげることも期待される。日本株の株価が過去最高値に上昇している中、出遅れ感が強い中小型株を中心にしたポートフォリオのファンドとして注目される。(グラフは、「アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド」の過去3年間のパフォーマンス)
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