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2024/05/15 17:18
ブロードバンドセキュリティ <4398> は5月15日、「Gomez 投信運用会社サイトランキング2024」を公表した。投資信託運用会社が運営するウェブサイトをユーザー目線で客観的に評価することを目的とし、ウェブサイトとして基本となる適切なサイトパフォーマンス、ユーザーフレンドリーなサイト構造やアクセシビリティへの配慮に加え、個別の投資信託の商品情報、各種報告書やパフォーマンスデータ等が、ユーザーに向けてわかりやすく掲載されているのかを評価した。残高上位40社を対象に評価し、トップは野村アセットマネジメントだった。ブロードバンドセキュリティの代表取締役副社長の森澤正人氏は、「投信運用会社のサイトは資産運用立国の実現に向けて、プロダクトガバナンス、議決権行使や対話に関する考え方や実績といった新たに注目を集める情報が追加され、充実してきている」と評価する一方、「『商品選択サイト』として評価した場合には、残念ながらECサイトはもとより、証券・銀行といった販売会社と比べて劣後している状態」と指摘している。 同ランキングは、ユーザーの視点にもとづいて設計された6つの視点(ウェブサイトの使いやすさ/デザインとアクセシビリティ/ファンド情報/安定性と信頼感/機能性・先進性/ブランド価値)から構成される161の調査項目により同社アナリストが評価を行った。多数の投資信託を提供する投信運用会社が多いため、商品検索機能についても重視した。また、金融庁が掲げる資産運用立国の実現に向けた政策プランにおいて、「成長と分配の好循環」を実現していくインベストメントチェーンの残されたピースとして、家計金融資産等の運用を担う資産運用業とアセットオーナーシップの改革への期待が高まっているという背景も踏まえ、プロダクトガバナンス体制、運用体制や運用担当者の情報等も評価の対象とした。 さらに、同ランキングに先行して、同社では投信運用会社の認知度・イメージに関して 20代以上の男女合計873名(男442名:女431名)を対象にウェブアンケート調査を実施。この調査結果における各社の認知度や、「投資信託」等の一般的なワードで検索した場合の各社のウェブサイト上での検索順位についても、企業とそのウェブサイトが有するブランド価値として、本ランキングの調査結果に評価項目として組み込んだ。 各社のウェブサイトでは、全社的な運用体制に加えて、商品別にファンドマネージャー(運用責任者)のメッセージ、運用担当者の経歴といった詳細情報を積極的に掲載するケースが増えている。 また、本調査対象の40社のうち、全社的な投資哲学を掲載する投信運用会社は30社(達成率75.0%)、議決権行使ガイドラインを掲載している投信運用会社は29社(同72.5%)、企業との対話に関する方針を掲載している投信運用会社は16社(同40.0%)となっており、社会的な期待を受けて、個別の商品情報以外にも投信運用会社としての方針をウェブサイトで明確に発信する機運が高まっている。プロダクトガバナンスに関する詳細な情報掲載を行っている投信運用会社も、すでに7社(同17.5%)となっている。 こうした積極的な情報発信が進む一方で、ユーザーの商品選別の際に重要となるコスト、リスクやパフォーマンスデータを分かりやすく掲載している企業は少なく、ユーザーの適切な投資判断を支援するウェブサイトとしての情報発信は道半ばと言える。例えば、運用管理費用(信託報酬)や購入時手数料(上限)といったコストは、目論見書(PDF)には掲載があるが、商品概要のページ(HTML)にわかりやすく掲載している投資運用会社は半数以下。また、多くの投信運用会社のウェブサイトでは、自社が提供する個別の投資信託の検索や絞り込み機能を提供しているが、運用管理費用(信託報酬)別に絞り込みや並べ替えができるのは、40社中1社(同2.5%)しかない。 こうした投信運用会社のサイト傾向から、多くのユーザーは、情報をより確認しやすい証券会社や銀行等の販売会社のウェブサイトで情報収集や投資判断を行うことが一般的となり、結果として投信運用会社のウェブサイトの検索結果も下位にとどまりがちだ。これは、投信運用会社にとって大きな機会を逃していることを意味する。資産運用立国の実現に向けて、投信運用会社は、ユーザーの投資判断を支援する情報発信の場として自社サイトの総合的な価値を高めていく必要があるだろう。 今回の調査結果に対して森澤氏は「投信運用会社各社のウェブサイトには、 資産運用立国の実現に向けて、 プロダクトガバナンス、議決権行使や対話に関する考え方や実績といった新たに注目を集める情報が追加され、充実してきています。こうした前向きな情報発信が進む一方で、ユーザーが投資信託を選ぶ際に基本となる手数料等については、ランキング上位サイトでもわかりやすく掲載していないケースが多く、『商品選択サイト』として評価した場合には、残念ながらECサイトはもとより、証券・銀行といった販売会社と比べて劣後している状態と言えるでしょう。 投資運用会社のウェブサイトがユーザーの投資判断を支援するために活用されるには、ユーザーが期待する情報や使いやすい検索機能の搭載といった基礎的な情報・機能の両面での強化が課題です。資産運用業者にはこれまで以上に透明性と顧客への説明責任を重視した運用が望まれ、さらに顧客との良好な関係構築も期待されています。こうした社会的な要請や期待に対して、ウェブサイトは欠かせないツールとなります。投信運用会社が適切な情報をわかりやすくユーザーに向けて情報発信することで、より多くのユーザーの適切な投資判断を支援することが可能となります」と語っている。(図版は、「Gomez 投信運用会社サイトランキング2024」のトップ10)
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