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2024/06/05 17:12
投資信託協会が2024年1月に実施した「投資に関するWeb調査」の結果が6月3日に公表された。全国の20〜69歳の男女1万人を対象とした調査で、性・年代・居住エリアの人口構成比で割り付けで集計する手法は、日本国民全体の投資に関する意識と実行の現状を把握する機会になっている。2024年調査は、新NISAがスタートした直後の1月22日〜25日に実施され、新NISAが投資に与えた影響を確認することができるものとして注目された。結果として劇的な変化はなかったものの、積立投資に対する意識が高まっていることが確認された。また、今回から投資に関するリテラシーを測る調査も実施されるようになった。 投資の実施状況については、「投資信託」を保有しているのは26.8%で前年の25.9%とほとんど変化がなかった。「株式」の保有も27.3%で前年の28.5%と大きな違いはない。これらは、「定期預金・積立預金・外貨預金」の40.5%や「貯蓄型保険」の29.3%よりも低い利用率になっている。この調査は、新NISAがスタートした2024年1月を挟んで、新NISAの実施前と後の状況が比較できるが、投資の実施状況だけでは、新NISAがスタートした影響は、ほとんどうかがえない結果になった。 なお、「投資信託」の保有者は、年代別では世代で保有者の比率が大きく異なることはないが、世帯年収が増えるほど保有している人の比率が高まる。「500万円以上800万円未満」では32.8%、「1000万円未満」では35.5%、「1000万円以上」では44.9%になった。 また、株式や投資信託の保有者に投資方法を聞いた回答では、「タイミングを見て投資(一括投資)」が前年の65.9%から63.4%に低下したことに対し、「積立投資」が前年の51.7%から57.2%に上昇した。「積立投資」が国民の間で定着し始めていることが確認できる。この「積立投資」の実施状況を年代別にみると、「20代」では80.7%(一括投資は43.5%)が積立投資を実施し、「30代」でも74.4%(一括投資は52.8%)と若い世代の積立投資実行率が高い。これが「50代」では一括投資が70.0%(積立投資は48.8%)、「60代」では一括投資が79.4%(積立投資は36.5%)と年代が高くなると積立投資の実施率が低くなっている。 投資信託を保有している人に、保有している投資信託の種類を聞くと、「外国株式に投資する投資信託」が前年の60.6%から64.8%に上がった。保有している投資信託の種類に対する回答数が唯一前年比で上がっている。その他の種類は、「国内株式に投資する投資信託」が前年の50.7%が49.0%に、「株式、債券など、いくつかの資産に分散して投資する投資信託」が33.0%から31.1%に、「外国債券に投資する投資信託」が16.9%から14.3%など。外国株式以外の投資対象から、外国株式だけに投資対象が絞られているような現象になっている。今年は、「全世界株式(オール・カントリー)」、または、「S&P500」のインデックスファンドへの資金流入が目立っているが、その傾向は、この調査結果にも表れている。 一方、投資信託の積立投資実施者に、その利用口座を聞いたところ、今年から始まった「新NISA」が47.8%で、「つみたてNISA」が49.6%という回答になった。「つみたてNISA」は前年の56.3%から比率を落としているが、その他の口座も軒並み利用率を落としている。「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は前年の24.1%が21.1%に、「(一般)NISA」は23.6%が17.8%、「企業型DC」が16.0%から13.7%などだ。また、毎月の積立金額を聞いたところ、最も回答が多かったのは「5〜10万円」の20.5%で、これは前年の18.2%から比率が高まった。「10万円以上」も前年の10.0%が16.9%に高まっており、毎月5万円以上という比較的大きな金額で積立投資を実行する人が増えている。 このような結果から、新NISAのスタートは、「劇的な変化」を投資信託市場に与えるものではなかったが、それでも「新NISAスタート」の事実は投資や貯蓄の行動に変化を与えた事実はしっかり確認できた。テレビのニュースや情報番組などで、たとえば、MLBの大谷選手がかかわった事件、あるいは、政治資金を巡る問題などのように、連日のように大きなニュースとして「新NISA」が取り上げられたわけではない。むしろ、一般のニュースでは取り上げられる機会は少なく、金融系のニュースサイトや金融や投資系のSNSなど一部で話題になったというのが実体だろう。新NISAの浸透はこれからだ。今年夏には、今年4月に発足した「金融経済教育推進機構」が本格的な活動を開始することになっている。資産形成について様々な切り口で情報発信をすることが計画されており、新NISAについての認知拡大にも積極的に取り組むことになる。それらの結果が、新NISAの利用、あるいは、株式や投資信託の活用につながることが期待される。(イメージ写真提供:123RF)
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