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2024/06/06 18:33
HSBCアセットマネジメントは6月6日、「ミッドイヤー・オンラインセミナー」を開催した。グローバル・チーフ・ストラテジストのジョー・リトル氏が「2024年後半のマクロ経済、市場見通し」について講演し、その後、HSBCアセットマネジメント(インド)の株式部門 最高投資責任者(CIO)のベヌゴパル・マンガート氏が「インド株式最新情報」について話した。 ジョー・リトル氏は、2024年の後半のテーマを「利回りを活用する」と題した。「債券のパフォーマンスは、2024年の前半はマイナスのリターンになったが、これは、インフレが多いの他、低下しなかったためだ。この債券のリターンが、年後半は改善すると考えている。インフレが落ち着いてきて、中央銀行が利下げに向かっている今、債券市場が非常に興味深い市場になっている」と語った。 昨年末時点では、「2024年は米FRBは2024年に7回の利下げを実施すると予想されていたが。現在は、利下げは1−2回になると修正されている。利下げは9月に実施され、12月にも利下げがあるのではないかと考えている。英国BOEや欧州ECBの利下げは3回程度になると考える。そして、この欧米の動きは、既に利下げを始めている新興国の金融政策にも影響を与え、メキシコやブラジルなどは一段と利下げに進むだろう。このような金融政策の変更が世界の市場を動かす要因になる」と語った。そして、日本のについては、「ドル円の動向が興味深い。通常は為替に影響を与えるのは、短期金利の変動なのだが、ドル円に関しては米長期債の利回りとの相関性が非常に強い。今後、ドル円は緩やかにドルが弱くなって、日本にとってポジティブな効果が期待できるだろう」と語った。 そして、株式市場は2024年の前半は好調に推移しているが、「年後半のポイントは、米国のテクノロジー株から、物色が広がっていくことだ。非テクノロジー株にも活躍の可能性が広がり、インドを筆頭に、中国も含む新興国にも多くの投資機会がある」と語った。「マグニフィセント・セブン」や「AI関連」などとして注目を独り占めにしてきた米大型テクノロジー株は、株価の上昇によって割高になってきていること、また、利益成長への期待度も高くなっていることから、全体的に市場を押し上げる効果は小さくなっていくだろう」とした。 そして、今後の世界経済等の行方はメインシナリオとして「インフレが徐々に低下し、成長率も緩やかに低下するソフテッシュ・ランディング」という見方を示した。その中で、インドは、非常に楽観的に考えられる「ゴールデン・バス」の状態とし、「インドのメガトレンドは、3つのi(インフラ、イノベーション、個人)に象徴される。インドルピーが安定的に推移すれば、非常に楽しみな市場になる」と語った。 ベヌゴパル・マンガート氏は、「インドは、1年半後とにGDPが1兆ドル上乗せされる成長が継続して期待できる。2030年までにGDPの規模は7.5兆ドル〜8兆ドルの水準に達し、世界第3位の経済大国内なるだろう」と基本的な見通しを示した。そして、「2023年の税収は2.1兆ルピーと、過去10年の平均である1.7兆ルピーと上回り過去最高を更新した。旺盛な政府支出によるインフラ投資などの投資が進められているが、財政赤字はGDP比で5.1%に抑えられ、今後は一段と低下する見通しになるなど、財政も健全だ。このことが、インドルピーの安定につながり、インド経済が引き続き成長するという背景になる」と語った。 そのインドの成長には、インフラ関連投資が大きく、電力、道路、鉄道などのインフラ整備は、よりクオリティの高いものへと要求水準も高まっていることから支出額も伸びる方向にあり、強力な成長ドライバーになっているとした。そして、世界最大の人口14億人超の年齢中央値は29歳と若い国であり、1人当たりGDPが2200ドルとなり、今後、1人当たり5000ドルに向けて成長する中で、耐久消費財や医療、外食、宝飾品など高級品の消費が一段と伸びて、インド産業を押し上げていくだろうと見通した。また、「SIP」と言われる投信積立制度が国民の間で広がり、投信を通じた株式市場等への資金流入が続いていることが株価等を押し上げる要因にもなっていると語った。 また、総選挙によってモディ首相が3期目の政権を担うことが決まったものの、与党の議席数が減るなどとの見通しのため株価が大きく下落したことについては、「短期的にはボラティリティ(価格変動)が大きなこともあるだろうが、インドの政策が継続され、これまでの経済成長を支える土台が変わらないことが確認できた。市場は遠からず落ち着きを取り戻していくだろう」と語っていた。(イメージ写真提供:123RF)
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