前のページに戻る
2024/07/08 18:39
新興国株式ファンドとしてインドに投資するファンドの人気が高まっているが、このインドに次ぐ成長期待市場としてベトナムが浮上してきている。イーストスプリング・インベストメンツは7月に「ベトナム株式市場:成長と分散への投資」と題したレポートを発行し、ベトナム株式市場の魅力を伝えている。現在は、「フロンティア市場」に位置付けられているベトナム株式市場だが、2025年をメドに「新興国市場」への格上げを狙って市場整備を進めている一方、ベトナム株価の動きは、全世界株式(先進国+新興国)とは異なる値動きを続けており、分散投資先としても妙味が高いとしている。 ベトナム株を主たる投資対象としたファンドは、「東京海上・ベトナム株式ファンド(年1回決算型)」が残高512億円が最大のファンドになっている。以下、「ベトナム成長株インカムファンド」が285億円、「ベトナム・ロータス・ファンド 『愛称:ロータス』」が211億円など、ファンド規模としては小さい。これは、インド株ファンドと比較すると、「野村 インド株投資」が5529億円、「HSBC インド・インフラ株式オープン」が3633億円などと比較すると、10分の1の水準だ。これは、インドのGDPが3.4兆米ドル(2022年)に対し、ベトナムは0.4兆米ドル(同)とおおむね10分の1の水準であることと整合性が取れているとも受け取れる。 ベトナムの代表的な株価指数である「ベトナムVN指数」が過去5年間で年率8.5%(米ドルベース)の上昇になっている。また、株価のボラティリティ(価格変動率)は高いものの、「世界株式市場(先進国+新興国)との相関性が低いことが明らかになっており、これは投資家にポートフォリオの分散効果をもたらす可能性がある」と指摘している。さらに、ベトナムのGDP成長率予想は、IMF(国際通貨基金)の予想で2024年に5.8%、2025年は6.5%と2023年の5%から徐々に拡大する見通しになっている。 そして、イースト・スプリングのレポートでは、「ベトナムは、2020年に『2025年までの国家デジタルトランスフォーメーション(DX)プログラム及び2030年までの方針』を政策決定し、2030年までに高度なデジタル国家になることを宣言している」として、DX関連の投資が活発に行われていることも注目ポイントにあげている。ベトナムのデジタル経済の流通取引総額(GMV)は、2019年から2021年の年平均成長率が15%だったが、2021年から2022年には28%成長を遂げ、2022年から2025年までは年平均成長率は31%が見込まれるなど、高い成長率で成長を続けている。この高い成長の背景には、ベトナムにおける中間所得層の拡大が背景にあるとされ、ベトナム市場の自己資本利益率(ROE)は過去5年間で平均14.6%と、ASEAN諸国の水準を上回っており、また2025年も14%と比較的安定した水準を維持すると見通されている。 このような好調な経済成長を背景として、ベトナム政府は2025年7月までに、少なくとも1つの世界的な株価指数において、自国株式市場のカテゴリーをこれまでの『フロンティア市場』から『新興国市場』に昇格されることを目指している。ベトナムの株式市場は2013年12月末に上場銘柄数788銘柄、時価総額450億米ドルから、2024年3月末には上場銘柄数1597銘柄、時価総額2720億米ドルへと急速な成長を遂げてきた。依然として決済手続きや外国人持ち株比率の上限などにおいてローカルルールがあるものの、これらを国際ルールに準じるものへと改革の意向を持っている。この点からも、ベトナム株式市場が今後も注目されるとしている。(グラフは、新興国株価指数と主なベトナム株ファンドの推移)
ファンドニュース一覧はこちら>>