前のページに戻る
2024/07/12 18:18
米6月のCPI(消費者物価指数)が事前予想を下回る伸び率となったことから、市場は9月の米利下げを織り込むような動きになってきた。一足早く利下げに踏み切ったECBは、米国が利下げに動けば一段の金利引き下げに動きやすくなり、年後半の欧米での金利低下が明確になりつつある。7月12日にHSBCアセットマネジメントが2024年後半投資見通しを公表し、そのレポートのタイトルを「利回りを活用する」とした。HSBCアセットマネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジストのジョー・リトル氏は「当社はディスインフレの再開と中央銀行の政策転換という環境が、2024年下期に債券の復活につながると考えている」として米国国債と英国国債を強気の見通しとしている。 HSBCアセットマネジメントは、2024年の前6カ月で多くの中央銀行が利下げを開始し、債券市場のパフォーマンスに大きな影響を与えたと指摘し、この環境が継続することによって「2024年下期に債券の復活につながる」と見通している。そして、「世界のクレジット市場では底堅いマクロトレンドと強力なファンダメンタルズがデフォルト予測を抑制しており、魅力的な『オールイン』利回りが見込まれる」と強気の姿勢だ。特に、アジアのハイイールド・クレジットは「ここ数年、中国の不動産市場の低迷を背景に伸び悩んでいたが、中国の政策支援により、今年に入りパフォーマンスが大幅に回復している。中国における継続的な政策面の積極性と、アジア地域の成長見通しが相対的に堅調であることから、当社は当該市場に対してポジティブな見方を維持している」とする。 さらに、新興国株式が市場のけん引役として浮上すると見通している。「長期にわたり高い水準となる金利環境、中国が直面する成長課題、米ドル高」といった逆風があったにもかかわらず、堅調な株価推移を見せてきたことから、今後世界の金利水準が一段と低下する見通しにある中で、「割安なバリュエーションと世界経済の成長拡大は、新興国、特に、アジアの新興国が今年後半のけん引役になる可能性がある」と見通している。新興国の中では、中国、インド、そして、半導体サイクルの上向きの恩恵を受ける台湾と韓国に注目している。 また、新興国の債券にも一部に魅力的な市場があるとし、特に、インド、インドネシア、メキシコなどを取り上げている。「米連邦準備制度理事会の利下げが近づいており、米ドル安になれば、こうした市場を下支えするとみられる」とした。 なお、HSBCアセットマネジメントは7月29日に、世界の企業が発行する残存期間5年以内の投資適格債に投資し、原則として持ち切りで運用する「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド 2024−07(限定追加型)(愛称:ますますグロタ 2024−07)」の新規設定を予定している。ゆうちょ銀行で7月29日から9月2日まで募集する予定だ。約5年の投資サイクルを4回繰り返し、通期で20年の運用が可能な商品で、各サイクルの初めに追加で購入申し込みが可能になっている。通期20年の運用期間があるため、NISAの成長投資枠の対象にもなっている。 現在の高い金利水準を運用に活かすという考え方であれば、「ますますグロタ」のような「持ち切り運用」という考え方は、理に適っている。6月29日に新規設定された「2050年満期米国国債ファンド(年4回分配型)(愛称:2050米国債)」は2020年に発行された低クーポンの米国30年国債に投資し、2050年の満期まで持ち切る運用を提案するファンドだ。低クーポンの国債はその後の利上げによって価格が暴落したが、現在の下落した価格で購入することによって、満期償還時の額面償還による償還益が期待できるとする。設定後の最終利回りは4.70%が期待できるポートフォリオになっている。今後の金利の緩やかな低下を前提とした商品といえ「利回りを活用する」戦略の1つといえるだろう。(イメージ写真提供:123RF)
ファンドニュース一覧はこちら>>