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2024/08/01 17:12
国民年金基金連合会が8月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると2024年6月の新規加入者数は3万5306人で前年同月比5.4%減、加入者総数は337万1757人になった。新規加入者数は4月以来3カ月連続で前年同月比でマイナスになった。第2号(会社員・公務員)の新規加入者が前年同月比7.4%減と大きく落ち込んでいる。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は7848事業所、対象従業員数は5万74人になった。 5月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は4980人(前月4938人)と前年同月比4.2%増、第2号加入者は2万8310人(前月2万6275人)と同7.4%減、第3号加入者は1624人(前月1458人)と同0.5%減になった。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が1万7112人(前月1万6002人)。「企業年金あり」が6550人(前月5958人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は4648人(前月4315人)となった。 iDeCoの新規加入者数は、2017年1月に制度改定によって公務員や第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者)にも加入が認められてから、右肩上がりに増加を続けている。2017年1月時点での総加入者数は約33万人だったものが、2018年8月に100万人を突破、2021年5月に200万人突破、2023年7月に300万人を突破して、この6月には約337万人になった。7年6カ月で加入者数が約300万人増加する結果になっている。 2017年1月以来、7年6カ月にわたって、おおむね毎月3万人以上の新規加入者があるということは、非常に根強いニーズがあることを示しているともいえる。ただ、3カ月連続で前年同月実績を下回る新規加入者数になったことは、明らかに成長の鈍化がうかがえる。しかも、前年同月比でのマイナスの幅が、4月はマイナス0.06%だったものが、5月はマイナス2.01%、6月はマイナス5.40%と、だんだんマイナス幅が深くなってきている。この背景にあるのは、今年1月にスタートした新NISAが非課税投資枠を大幅に拡充し、かつ、非課税期間も無期限となって超長期の運用にも対応したことの影響が大きいと考えられる。老後資産を蓄える手段として、まずは新NISAが選択されるような状況になったのだろう。 新規加入者状況を振り返ると、2023年2月から2024年1月まで12カ月連続で前年同期比を下回る状態が続いた。この時は、その1年前の2022年6月に新規加入者数が1カ月間で5.58万人を達成するという大幅な加入者増があったことの反動だった。今回のマイナスは、前年6月がマイナス33.12%と大幅に落ち込んだことをさらに上回っていることに深刻さがある。2022年6月の5.58万人と比較すると2024年6月の3.53万人は63%の水準でしかない。来月以降、この落ち込みがさらに深くなっていくのか注目していきたい。(グラフは、iDeCo新規加入者数の推移)
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