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2024/08/26 10:54
アムンディのグループCIOのヴァンサン・モルティエ氏(写真)は8月23日、東京・汐留のアムンディ・ジャパンでメディアミーティングを開催し、「日本およびグローバル・マーケットの動向」について語った。モルティエ氏は、8月上旬に起こった株価の大幅な調整等も踏まえて変化しつつあるグローバルな投資環境を概観し、「米国の大型テクノロジー株の上昇にけん引されたこれまでの市場が転換期を迎えている。これまで見過ごされてきた欧州の中小型株や新興国株・債券など、米国大型株式以外の資産にも魅力的な資産クラスがあることに注目したい」と語った。 モルティエ氏は、今後のマクロ経済の見通しとして、「来年に向けて米国を中心に先進国経済の成長が鈍化し、英国やユーロ圏、日本や米国の成長率の差が縮小していく見通しにある。その中にあって、先進国と比較して成長力のある新興国の優位性が目立ってくるようになるだろう」と概観した。米国経済は、これまでの経済のけん引役であった個人消費がセンチメントの悪化することによって伸びが鈍る影響が大きいとした。 米国は、インフレ(物価上昇)や住宅等の賃料の上昇などによって個人の購買力が低下し、財政支援などの景気刺激策も財政赤字の拡大によって難しくなっており、十分な景気刺激策等が期待しにくい環境になっている。米国ハイテク大型株の株価上昇は個人消費のセンチメントを高めることに効果があったが、株価の動きも一方的な上昇は難しくなってきていることも、今後の米国経済の頭を押さえる要因の1つのなりそうと指摘した。 また、米大統領選挙の結果は、現段階では十分に米株式市場に反映されているとはいえないものの、米大統領選の年には米国株価が上昇するという経験則では、既に株価は上がったということができるとの見方をした。そして、トランプ氏が再選されると、関税の見直しなど貿易関係の緊張が高まり、経済のグローバル化の動きが弱くなる見通しがもたれている。「関税が上がると、短期的には米国内企業にメリットがあるようになるだろうが、中国の輸出企業に打撃を与え、中国経済の下押しによって欧州経済にも悪影響が及ぶだろう。グローバル経済の鈍化は中期的には米国にもマイナスの影響が出てくると考えられる」と語った。 一方、欧州は成長は鈍化しているものの、消費や投資に改善の兆しがある。ただ、ドイツは弱く、スペインやイタリアがやや良いなど、地域によって回復のスピードに差があると指摘した。日本は前向きな循環が期待され、成長の期待が持てる状態にあると考えている。そして、新興国は先進国と比較すると成長率が高く、インフレが抑えられる中で米国への依存が低下するなど成長の質が向上しているところがある。中国は期待ほど経済成長が強くないが、全体的に経済を政府がコントロールできている状態にあると考えられる。インドは政策ミックスも良く成長の質が高まっていると評価できるとした。 リスクとして意識されるのは、「インフレとの闘いに各国の中央銀行が勝利したと言い切るのは時期尚早ということ」とした。成長率が鈍化する中でインフレが進むというスタグフレーションの懸念も払しょくされているわけではないとした。その1つの要因として、地政学的リスクの高まりをあげた。「不測の事態が出来し、世界の市場がショックを受けるような事態がありうる」ということは、忘れてはならないと語った。 また、インフレが鈍化し、景気も弱含むことで、米国や欧州の利下げが進み、米国は年内に0.75%〜1.00%程度の利下げが見通されるとした。このため、米ドルは他の通貨に対して弱くなる見通しで、例えば、ドル円は1ドル=140円を下回るような水準をめざすのではないかとした。 米国はこれまで「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれた大型ハイテク株に集中した動きになってきたが、今後はM7以外の小型株などに物色が広がっていくという見通しを示した。また、米国株に対して割安な欧州株にも魅力があり、特に、欧州の小型株は割安で魅力的な投資対象になっていると語っていた。そして、米国株に対して新興国株は魅力的だとした。
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