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2024/09/10 16:06
三菱UFJアセットマネジメントは、三菱UFJ信託銀行と三菱UFJ銀行(市場事業本部)が持っているクレジット投資に係るケイパビリティ(組織的な能力)の移転によって、証券化商品(CLO・不動産担保付ローンファンドなど)などクレジット領域での投資助言態勢を整備するとともに、将来的な投資助言の対象拡大や投資一任への機能拡張も視野に入れた取り組みを強化する。10月1日付けで運用部門に「クレジット運用部」を新設し、クレジット投資に係る専担部署と位置付ける。 三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJアセットマネジメントをグループにおける資産運用の中核会社と位置付け、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングスらと並ぶ「第4の柱としてのポジション」に育成する計画を進めている。2024年4月1日付けで、三菱UFJ信託銀行の持ち株(100%株主)を三菱UFJフィナンシャル・グループに移転し、銀行らと同列に並ぶグループ会社としての資本構成を実現。今後、資産運用機能の強化に向けた取り組みを推進し、現在の運用資産100兆円を2030年には倍増の200兆円に拡大し、グローバル15位に相当する「グローバルに存在感のある本邦ナンバーワンの運用会社」をめざしている。 運用力の強化については、たとえば、人材育成プログラムとして若手の運用アイデアを具現化したパイロットファンドの組成等に使うEMP(エマージングマネージャープログラム)投資枠を400億円用意し、今年1月時点では300億円実施していたものを、投資枠を1600億円に拡大する計画を持っている。また、ファンドマネージャーの報酬の一部を自己運用ファンドに投資し、ファンドの投資家と利益を共有する枠組みを導入する方針を持っている。さらに、オーストラリアの大手運用会社で三菱UFJ信託銀行の子会社であるFirst Sentier Investors(FSI)の運用者との連携によるアクティブ運用チームを組成してグローバルEMPを行うなどの構想もある。 一方、運用関連業務として運用会社のミドル/バック業務をBPO(業務プロセス委託)として引き受けるBPO受託資金を現在の40兆円から100兆円に倍増し、本邦ナンバーワンの受託会社になることも目指している。業界初の取り組みである「受託者一者計算」という低コストの仕組みを提供することを強みとしてBPOの受託を強化している。 三菱UFJアセットマネジメントは、業界最大のノーロード(販売手数料無料)低コストのインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」が、シリーズ(14本)で11兆円の純資産残高になるなど、インデックスファンドで圧倒的なブランドを獲得している。ただ、インデックスファンドで残高が5兆円に届くような巨大なファンドを有する一方で、アクティブファンドで目立って大きなファンドがない。以前は、「グローバル・ソブリン・オープン」が残高5兆8000億円にまで拡大したことがあったが、現在のところはアクティブファンドで1兆円を超える大型ファンドはない。海外の大手運用会社は、それぞれに「フラッグシップ(旗艦)」というような代表的な大型ファンドを持っている。今回の運用機能の集約は、運用商品の幅を広げることに効果があるが、1つの分野でより質的な向上をめざす取り組みも求められる。グループとしての強化策が注目されるところだ。(イメージ写真提供:123RF)
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