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2024/09/30 11:48
9月24日に発表された中国の大規模な景気刺激策は、長らく低迷を続けてきた中国株式市場にカンフル剤のような効果をもたらし、中国株式市場を大きく押し上げた。「上海総合指数」は9月27日までの4営業日で23日終値から12%上昇。より落ち込みが深刻だった「深セン成分指数」は同期間に18%も上昇した。香港の「ハンセン指数」も13%上昇と、前週1週間は中国株式市場は全面高の動きになった。この株価の上昇は、今後も継続するのだろうか? イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)は、この中国の景気刺激策が中国株式市場に与える影響を考察したレポートを発表した。そのレポートは、「中国株は短期的には上昇を続ける可能性があるが、中期的な上昇トレンドを維持するにはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の真の改善が必要となる」と、今後に期待しつつ、冷静な対応を呼びかけている。 9月24日の景気刺激策はいくつかの対策を組み合わせたものだった。まず、金融緩和策として「7日物レポ金利を20ベーシスポイント(0.2%)引き下げ、かつ、預金準備率を50ベーシスポイント引き下げ、さらに年内に追加で25〜50ベーシスポイントまで柔軟に引き下げる可能性を示唆。そして、銀行の強化として、中国の主要銀行(6大商業銀行)の資本増強。また、不動産セクターの安定化策として、既存の住宅ローン金利を50ベーシスポイント引き下げ、2件目の住宅購入の頭金の最低比率をこれまでの25%から1件目と同じ15%に引き下げ。さらに、株式市場の支援策として、5000億人民元のスワッププログラムにより、証券会社・ファンド・保険会社による株式の購入に資金を提供。必要に応じて2回の追加的な流動性供給ラウンドを実施し、支援総額を1.5兆人民元に引き上げる――というもの。レポートでは、「重要なのは、これは数年ぶりの大規模な景気刺激策であるという点」と指摘している。 また、この景気刺激策については、米国が4年半ぶりに利下げサイクル入りしたことに加え、「10月1日に中華人民共和国成立75周年記念を迎えること」も大きなポイントになっているとしている。 そして、この景気刺激策が市場に与える影響について、イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)の中国A株チームのリサーチ・ヘッドであるJingJing Weng氏は、「景気刺激策の主な注目ポイントは、中国人民銀行が“より積極的な財政緩和の可能性を示唆”したこと」と指摘する。これによって、市場が長らく待ち望んでいたさらなる財政緩和への道が開かれることになることに期待を持っている。そして、JingJing氏は「さらなる市場の上昇には、(1)財政緩和の拡大、(2)非金融の上場企業への資金支援の枠組みの明確化、(3)経済指標の改善、が必要になる」とし、引き続き、中国人民銀行の動向、今後の財政政策発表などを注視している。 また、同社のグレーター・チャイナ株式チームは、「グロース株式が投資家心理の改善からより大きな恩恵を受ける可能性が高い」と考えている。そして、「外国人投資家からの関心が現在は低いために低バリュエーション水準にある電子商取引関連株に魅力的な機会があるとみている。また、融資済みの住宅ローンに対する金利引き下げの発表は、それまで売り圧力にさらされていた銀行の悪材料の出尽くしとも捉えられ、一部の中国の銀行株も魅力的かもしれない。一方、これまで軟調だった消費関連株も、消費を押し上げる可能性のある後続の政策が発表された場合にはその恩恵を受けるかもしれない」と指摘している。 中国株式を主たる投資対象とした「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」にカテゴライズされるファンドは43本だが、これら43本の合計で純資産総額は約1325億円しかない。これは、インド株式を主たる投資対象にするファンドの純資産総額トップの「野村インド株投資」の純資産総額5265億円の約4分の1の水準になってしまう。中国株式ファンドは、過去3年間の年率トータルリターンがマイナス7%〜21%程度というのが多く、「フィデリティ・チャイナ・フォーカス」や「損保ジャパン 拡大中国株投信」など一部の銘柄を除けばマイナスリターンになっている。3年も続いてマイナスのリターンを記録していては、人気も離散してしまうということだろう。インド株式ファンドの方は、3年トータルリターンが年率20%を超えるようなファンドが多数存在している。 一方、中国経済が政府による景気刺激策を受けて復調するようなことになれば、過去3年間の低迷ぶりがひどかっただけに、意外と大きな戻り相場が期待できる。中国政府の姿勢が、どこまで腰の入ったものであるのか確認する必要があるが、新しい投資機会が感じられる市場として中国株式市場もチェックしておきたい。(グラフは、主要な中国株式ファンドのパフォーマンス推移)
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