フランスの独立系運用会社「コムジェスト」、独自の運用哲学への理解を深めるハイブリッドセミナー開催

 フランスの独立系運用会社であるコムジェスト・アセットマネジメントは6月24日、東京・京橋で個人投資家向けの「エマージング株式セミナー」を開催した。同セミナーは、オンラインでも公開されたリアル(少人数の対面セミナー)とネットのハイブリッドセミナー。新型コロナウイルスの蔓延で、多くの人が集まる会場型セミナーの開催が難しくなっているが、コムジェスト社では、オンラインも合わせたセミナーを展開し、情報提供に努めている。

 コムジェストのファンドは、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」の組み入れファンドとして「コムジェスト日本株式ファンド(適格機関投資家限定)」「コムジェスト・ヨーロッパ・ファンド80(適格機関投資家限定)」「コムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンド90(適格機関投資家限定)」が採用されている。また、クローバー・アセットマネジメントの「コドモファンド」「浪速おふくろファンド」「らくちんファンド」「かいたくファンド」にも組み入れられている。株式のアクティブ運用に特化した資産運用グループとして知られ、現在はパリ、ダブリン、香港、東京、シンガポールなどに拠点がある。

 コムジェスト・アセットマネジメント代表取締役社長の高橋庸介氏は、コムジェストの投資哲学として「長期投資」と「アクティブ運用」に特化していることだと説明した。大事なことは、「長期的な絶対リターン」を目指していることで、この運用姿勢は、個人投資家の運用ニーズに合致しているとした。「機関投資家は、四半期や年度などの決算で評価する必要があり、目線が短期に向きがち。ところが、長期的な株価に連動する企業利益が成長するには、長い期間が必要。長期投資の果実を得るには半年、1年ではなく、5年、10年といった長期の期間が必要だ。個人投資家は自らの判断で長期投資が可能であり、コムジェストの投資の特徴に合致した投資家だと思う」と語った。

 そして、利益成長には長期の期間が必要になるということの事例としてソフトバンクグループが創業から店頭公開まで13年間、ファーストリテーリングがユニクロの1号店の出店から広島証取(当時)に上場するまで10年を要したことなどを取り上げた。

 また、コムジェストの運用の特徴として「地道な調査」をあげ、「ファンドマネジャーは、自分の目と足で得た情報に基づいて投資判断している。ニュースはチェックしているが、基本は経営者との面談などによって得た情報に基づいて行動している」とした。その上で、長期投資を実現するために、「真のチーム運用が必要になる」と、同社の運用の特徴である「CCR(コムジェスト・チェーン・リアクション)について説明した。たとえば、「コムジェスト日本株式ファンド」でソフトバンクグループへの投資を検討していた時には、新興国ファンドで中国のアリババを担当していた香港チームからアリババの企業価値について情報提供や意見交換も行ったという事例などを紹介した。

 一方、同社のマーケティング&IRマネジャーの渡邉敬氏は、「創業者列伝」として台湾セミコンダクター(TSMC)を創業したモリス・チャン(張忠謀)氏を紹介した。また、シニアIRマネジャーの小島久美子氏は、投資銘柄紹介として韓国のNAVER(ネイバー)を取り上げて、近年のNAVER社の事業戦略について説明した。日頃の調査活動で個々の企業を詳しく調査してレポートし、かつ、拠点間の情報連携が図られているために、個々の企業についても今後の展望を踏まえた解説ができるようだ。

 この「エマージング株式セミナー」は、昨年からシリーズで展開しており、株式のアクティブ運用について正しい理解を求める目的で、さまざまな切り口から投資や資産運用についての情報発信を行っている。「創業者列伝」は、今回のセミナーで第一弾となるなど、分かりやすく、ためになるセミナーになるよう工夫している。また、ファンドオブファンズの組み入れファンドとして運用商品を提供しているセゾン投信やクローバー・アセットマネジメントと共同で行うセミナーも積極的に企画している。
提供:モーニングスター社
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