アフターコロナを見据えたファンドが続々、既存テクノロジーファンドも人気再燃

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、世界の株価は急落したが、そのショックをきっかけに、コロナ前とは異なる「新しい日常(ニューノーマル)」が注目されている。テレワーク(在宅勤務)に代表される働き方、あるいは、オンライン教育やオンライン診療など、人との接触を伴わないサービスが広がっている。投信市場でも、このニューノーマルの世界で活躍する企業に着目した「アフターコロナ」ファンドといえるファンドが増え始めている。

 7月8日にはSBIアセットマネジメントが「SBIポストコロナファンド」を設定する。文字通り、国内外の「ポストコロナ関連銘柄」に投資するファンドだ。「医療」「生活様式の変化」「デジタル技術の変革」をキーワードとし、テレワーク、EC、5G、動画ストリーミング、電子決済、遠隔教育、治療薬開発、医療機器などに関連する企業群に投資する。日本株式に50%以上、外国株式に50%を上限として投資する。

 7月20日には大和アセットマネジメントが「ダイワSociety5.0関連株ファンド(愛称:スマートテクノロジー)」を新規設定する。「Society5.0」とは、狩猟社会(1.0)から、農耕社会、工業社会を経て、情報社会(4.0)に続く「未来社会」を意味する言葉だ。ファンドが着目する4つのコンセプトである「支える技術(デジタル基盤技術等)」「健康的な暮らし(医療等)」「便利な暮らし(省力化等)」「豊かな暮らし(消費・サービス等)」から想起されるのは、ポストコロナの時代に対応した企業群に他ならない。実際には、「サイバーセキュリティ株式オープン」「世界医療機器関連株ファンド」「グローバル・フィンテック関連株式ファンド」などの投資信託証券に投資するファンド・オブ・ファンズの形式で運用し、内外の幅広い銘柄群をカバーするファンドになる。

 そして、7月31日には日興アセットマネジメントの「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(愛称:ゼロ・コンタクト)」が設定される。デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、「ITの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変革させる」という2004年にスウェーデンで提唱された概念だが、ファンドは「リモートワーク」「宅配サービス」「オンライン診療」など、新しい生活様式に注目する。「非接触(ゼロ・コンタクト)」という新たなニーズのために、革新的な技術やサービスを創出する内外の企業の株式に投資する。「破壊的イノベーション」にフォーカスした調査に強みを持つ米アーク・インベストメント・マネジメントLLCの調査力を活用して運用する。

 このようにアフターコロナに着目したファンドといっても、コンセプトや投資対象銘柄はそれぞれに異なる。一方、テクノロジーに着目して銘柄を選定する視点では、既存のテクノロジー関連ファンドとも性格は似ている。

 たとえば、テクノロジー系で残高が大きいゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」はマイクロソフト、アルファベット、アマゾン、アップルなどを上位組み入れ銘柄にしている。これらは、DX関連銘柄ともいえ、アフターコロナでも活躍が期待される。さらに、次の世代のテクノロジーに着目した「GS フューチャー・テクノロジー・リーダーズ(愛称:nextWIM)」では、アルゼンチンのオンライン取引会社のメルカドリプレやアメリカのIT管理ソフトメーカーのサービスナウ、中国のEC(電子商取引)プラットホームのピンドゥドゥなど、アフターコロナでも注目される企業群に投資している。

 新設ファンドには、時代の動きを捉えた切り口による投資対象銘柄の選定やポートフォリオの組み方に特徴があるが、既存のファンドには運用成果を確認できる安心感がある。現在は、感染拡大が収まらないウイズコロナの局面だが、投信の世界では、新型コロナウイルス感染拡大を克服した後の世界である「アフターコロナ」を見据えて、ファンドに資金が流入し、また、新ファンドが次々に設定されている。投資の世界では、往々にして「変化」は「チャンス」になる。投資の新しい潮流になりつつあるニューノーマルを見据えた関連ファンドの成長を見守りたい。
提供:モーニングスター社
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