SBIアセットマネジメント・グループの運用残高2兆円突破、地域金融機関向け私募と特徴的公募投信で成長

 モーニングスターの子会社の中間持ち株会社であるSBIアセットマネジメント・グループ傘下の運用会社5社合計の運用資産残高(運用助言を含む)が7月20日に2兆円を突破した。運用資産の増額には、地方銀行や信用金庫の有価証券運用を支援するSBIボンド・インベストメント・マネジメントとSBI地方創生アセットマネジメントの資産残高が大きく伸びたことが寄与した。両社は地域金融機関の運用ニーズに特化した安定的な運用を行う私募ファンドに特徴がある。また、公募投信を提供するSBIアセットマネジメントは、米バンガード社と連携した「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が設定から10カ月足らずで残高が500億円を突破するなど急成長をしている。

 SBIボンド・インベストメント・マネジメントは、19年6月末の残高6102億円が7月20日には8418億円と、1年間で運用残高が約38%増加した。同社は、SBIグループと世界最大級の債券アクティブ運用会社である米ピムコ社が共同で16年4月に設立した債券を中心に運用を行う運用会社。19年12月にSBIアセットマネジメント・グループがSBIグローバルアセットマネジメントから株式の90%を取得した。10%は引き続き米ピムコ社が保有している。

 SBI地方創生アセットマネジメントは、SBIグループが推進する「地方創生プロジェクト」の一環として、複数の地域金融機関と共同出資で18年3月に設立された。19年末にSBIアセットマネジメント・グループが株式の55%を取得し、残る45%は地方銀行38行がそれぞれ保有している。出資する銀行は、それぞれの資金運用ニーズに応じたファンドの組成・供給が受けられる他、資産運用に関する人材育成においてもSBIグループのサポートを受けることができる。19年6月末の残高455億円が7月20日には4440億円と1年間で約10倍増した。

 SBIグループが推進する「地方創生」プロジェクトでは、地域金融機関の有価証券運用の高度化と多様化の支援は重要な役割と位置付けられ、SBIアセットマネジメント・グループ傘下の運用会社は、それぞれの持つ運用の特性やネットワークを活かして、地域金融機関の収益力の向上に貢献するよう努めている。一方、地域金融機関は預貸率の低下が進み、自己資金の有価証券運用における収益の拡大が重要になってきている。ところが、国債の利率がゼロ%台となり、従来の主力運用先であった国債や地方債での運用では、ほとんど運用収益があげられなくなっている。この地域金融機関の運用ニーズにSBIアセットマネジメント・グループ各社の持つグローバル運用のノウハウが活かされている。

 SBIアセットマネジメント・グループで地域金融機関から運用を受託しているのは、主にSBIボンド・インベストメントとSBI地方創生アセットマネジメントだが、この両社が地域金融機関から受託している運用残高は、19年6月末に6557億円だったが、20年6月末には1兆2562億円へと、ほぼ倍増している。また、コロナショックでマーケットが混乱した20年3月の私募投信の純資金流入額は、SBIアセットマネジメント・グループで2079億円を記録し、これは私募債の取り扱いをしている国内全90社の運用会社でトップだった。

 一方、公募投信を主に提供しているSBIアセットマネジメントは、低コストのインデックスファンドである「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」や愛称「雪だるま」として親しまれている「全世界」「先進国」「新興国」のインデックスファンドシリーズが順調に残高を拡大していることに加え、個性的な新ファンドを積極的に投入している。今年7月8日に設定した「SBIポストコロナファンド」に続き、7月29日にはピクテ投信投資顧問と連携し、日本とアジアのハイテクベンチャー企業に投資する「SBI−ピクテ アジア・ハイテク・ベンチャー・ファンド」を立ち上げる。新ファンドは日本とアジアの未公開株も15%を上限に組み入れるというアグレッシブな運用スキームを持っている。このような特徴的な商品を投入することで残高の拡大につなげる。
提供:モーニングスター社
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