「自然資本ファンド」が投資の新しいフロンティア=HSBC投信が年内の設立めざす

 HSBC投信は、農地や森林、水資源等を投資対象とした「自然資本ファンド」を年内に立ち上げる計画を明らかにした。1月14日に開催したオンラインでの新春セミナーで、同社代表取締役社長の金子正幸氏は、「HSBCは、株式や債券、マルチアセットを対象に、アクティブでもパッシブでもESGファンドを設定して投資家に提供しているが、今年は一歩進めて、『自然資本ファンド』を立ち上げる計画だ」と語った。また、HSBCグローバル・アセット・マネジメント機関投資家ビジネス部門ESGリーダーのサンドラ・カーライル氏は、「気候変動が人類の存在に関わる危機として意識され大きなリスクになっているが、そこにはオポチュニティ(好機)もセットとしてある」と語り、「自然資本」に投資するファンドには投資対象として大きな可能性があると語った。

 セミナーでは、HSBCグローバル・アセット・マネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジストであるジョー・リトル氏が、「復興する経済−The restoration economy−」と題して、2021年のマクロ経済見通しを解説した。2020年はコロナによって世界的な景気後退となったが、「株価が上昇し、銅なども強く、従来のリセッションとは異なる市場の動きになった。これを支えたのは、世界の金融緩和策と積極的な財政支援策だった。中でも、世界の金利が長期にわたって低いと確信できることは、株高を支える重要な条件だ」とした。2021年は、復興のフェーズに入り、いち早く回復した中国と2番底のリセッションといえる欧州など回復のスピード感は異なるものの、「世界的に年央にはそろって回復基調で足並みをそろえるだろう」と語った。

 特に、米国でバイデン新政権が発足することで政策の不確実性が後退することは、グローバルなマーケットで歓迎されることだと語った。そして、2021年から22年にかけて、日本を除くアジアやアメリカの企業業績が、コロナショック前の水準を上回って伸長していくことは、投資対象として魅力的な存在であると語った。ただ、2020年の株高によって、今後の株価の上昇余地は低下し、将来の期待リターンもフラット化していることには留意が必要だとした。また、ドル安のトレンドが続く見通しで、米国に投資するよりもドル安のメリットを受けるアジアや新興国の現地通貨建て債券、また、出遅れ感のある欧州、南アジア、新興国の一部などの株式に魅力があるとした。

 一方、サンドラ・カーライル氏は、「ESGが大きな投資機会になった」と、世界的にESG投資に資金が集まっている現状を紹介。今後もESG投資への流れは続くと語った。そして、「2021年は生物多様性の維持に関心が高まる1年になる」として、特に、気候変動によって自然が破壊され、生物の種が絶滅する危機にあることが注目を集めるとした。食糧や水、森林など再生可能な管理体制の確立や海洋の保護などによって「生物の多様性を守るソリューションの価値が高まる」と見通す。現在、ESG専門の投資グループである英ポリネーションと共同でファンドの開発を進めているというが、「『自然資本』を対象とした投資は、新しいフロンティアとして多くの投資資金をひきつけるだろう」と期待している。
提供:モーニングスター社
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