アイスランド・クローネ急落、ユーロペッグ化で投信各社が緊急レポート作成

 アイスランドが7日、金融市場の混乱から非常事態を宣言。高金利通貨の一角として投資家の注目を集めてきたアイスランド・クローナだが、6日にはS&Pが自国通貨建て長期債格付を「A+」から「BBB+」に引き下げたことなどを受け、対円で急落。7日には中央銀行がロシアから40億ユーロの融資を受ける交渉を始めると発表。同国通貨のクローネを1ユーロ=131クローナの水準でペッグさせるとも発表した。日本の投信にも高金利通貨に注目しアイスランド・クローナを組み入れるファンドがあるが、今回の急落を受けて各投信会社は緊急レポートを作成するなど、対応に追われている。

 大和住銀投資顧問は9月末時点でアイスランド・クローナを11.5%組み入れているファンド「高金利通貨オープン(愛称=ワールドエイト)」(追加型株式投信/バランス型)を運用(マザーファンドベース)。10月7日の純資産総額は997億円、基準価格7816円になっている。大和住銀投資顧問が7日に発表したレポートでは、7日時点でアイスランド・クローナが前週末比で対円で14.9%安と大幅安になったと指摘。今後の見通しについては、「具体的な対策が出てくるまでは当面非常事態が続くと想定されるが、今後の動向を注意深く見守って行きたい」としている。

 日興アセットマネジメントは、「世界のサイフ」(追加型証券投信/ファンド・オブ・ファンズ)を運用している(10月7日時点の純資産総額は2274億円、基準価格は7568円)。同ファンドの資産構成比率で99.5%を占めるマルチカレンシーファンド クラスBではアイスランド・クローナを8月29日時点で9.9%組み入れている。8日付緊急レポートによると同ファンドの基準価格は前日比8.9%のマイナスとなったという。一方、同レポートでは「当面は非常事態が続くと予想されることから、今後の動向を注視しながら運用を行う」としている。
 
 このほか、DIAMも「DIAM高金利通貨ファンド(愛称=通貨セレクション)」(追加型証券投信/ファンド・オブ・ファンズ)を運用しており、同ファンドの10月8日時点の純資産総額79億円、基準価格は7282円になっている。同ファンドがポートフォリオ比で97.3%投資するDIAMマルチカレンシーファンド(JPY)クラスFの割合では、8月29日時点で通貨別配分でアイスランド・クローナが12.4%組み入れられている。

 大和証券投資信託委託もアイスランド・クローナを11.3%(9月末時点、マザーファンドベース)組み入れている「ダイワ高金利通貨ファンド(毎月決算型)(愛称=金利のチカラ)」を運用しているが(10月7日時点の純資産総額は132億円、基準価格7138円)、同ファンドも7日に前日比で6.8%基準価格が下落したという。「コールセンターには顧客からの問い合わせが入っている」(広報部)と、基準価格の下落と非常事態の宣言は投資家の大きな関心を呼んでいる。ただ、アイスランド中銀自体が声明文の訂正を発表するなど、アイスランド国内での混乱が続いており、今後の見通しに必要な正確な情報自体が入ってこない状況のようだ。


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