08年の米投信は金融株比率低くても苦戦、好成績ファンドの共通点は=米モーニングスター

 08年は金融危機を発端に各国株式が暴落し、金融株を多く保有している投信が大きな痛手を被った。しかし、金融株の保有比率が少ないファンドも、一部で好調な投資成績を残したものもあったが、必ずしも好調というわけではなかった。米モーニングスターでは08年に金融株の保有比率が2%に満たない米国のアクティブ型ファンドをスクリーニングし、そのパフォーマンスについて分析した。

 該当した10本のファンドのうち、「GMO・U.S.・クオリティ・エクイティ・V(GQETX)」、「フランクリン・グロース(FKGRX)」、「アマナ・グロース(AMAGX)」、「ファースト・イーグル・ファンド・オブ・アメリカ(FEAFX)」、「アマナ・トラスト・インカム(AMANX)」の5本は今年、堅調な投資成績を残しており、それぞれのファンドのカテゴリーにおいてトップクラスのパフォーマンスを達成している。

 これらのファンドは金融株をほとんど含んでいないだけでなく、将来の成長予想に加えて健全なバランスシートの会社に長期投資するという共通点を持つ。また、08年に最も上昇率が高かったセクターの1つである医療株の保有比率が比較的高い。アマナの2つのファンドはイスラム法に準拠しているため、金利が発生する金融株の保有を基本的には禁止されている。両ファンドとも長い運用実績があるが、これも長期の投資スタンスを重要視するイスラム金融ファンドの特徴と言える。フランクリン・グロースとアマナの2つのファンドはポートフォリオの売買回転率が1ケタ台の非常に低い数字となっており、株式を短期で売買せずに長期保有していることが分かる。

 一方、金融株がポートフォリオの全体に占める割合が非常に小さいにも関わらず、08年に低迷したファンドもある。「バンガード・キャピタル・オポチュニティ(VHCOX)」は一流のチームが運用するファンドで、ポートフォリオの売買回転率は低く、医療株の組み入れ比率も高い。しかし、投資家のリスク回避姿勢が強まる中、苦戦を強いられた中型株に多く投資していたことが裏目に出た。また、「デラフィールド(DEFIX)」は割安な銘柄に特化して投資するファンドだが、割安株狙いの戦略も08年は有効に機能しなかった。

 08年の厳しい投資環境の中では、金融だけでなく多くのセクターで株式が大きく下落しており、ファンドを選別する上でセクター以外にも注意すべき点があることを投資家は学んだはずだ。(2008年12月26日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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