ETFインタビュー:先進国のメジャーな株価指数に連動するETFに投資家のニーズ=大証・大西氏

 08年の国内のETF(上場投資信託)市場は新規上場が相次いだほか、年後半の相場暴落時には投資チャンスを狙ったETF取引が急増した。08年のETF売買の動向と今後注目されるETFの分野について、大阪証券取引所の市場企画グループ グループリーダーの大西信二氏に聞いた。

 ――08年は大証でのETF取引の売買高、売買代金がともに過去最高となったが、売買増加の理由は何か。

 「08年後半にマーケットのボラティリティが高まり、日経平均株価連動型ETFの売買が大きく増えた点が挙げられる。個人投資家は日経平均株価が大きく下落した局面では、下げ過ぎと判断して買いを入れていた。個別銘柄で何を買えばよいか分からない個人投資家が、銘柄選別の必要がないETFに注目した面もあるようだ」

 「また、ETFは信用取引も活発で、相場がさらに下がると読んだ投資家はETFをカラ売りしていた。ETFは一般的な投資信託と違って取引時間中に価格が変動する点が特徴。08年後半のように1日の値動きの大きいときはETFの短期売買が入りやすい状況だったと言える」

 ――08年の金融商品取引法と投資信託法の改正で、金などの商品の現物を投資対象としたETFを上場できるようになったが、商品現物型ETFの今後の展開についてはどのように考えているか。

 「商品ETFをめぐる状況は法改正により制度面では前進した。ただし、実際に商品現物型ETFを上場するとなれば、商品の現物を保管するコストをどうするかなど何点かの検討事項がある。また、08年の今ごろは商品市況が注目を集めていたが、現在のような市況低迷時に関連ETFがどの程度売買されるのかという点も踏まえる必要がある」

 「さらに、海外では多くの商品ETFが上場しているが、日本では証券会社が商品現物型ETFのマーケットメーカー(指定参加者)として必要とされるノウハウを今後どのように蓄積していくかが課題となるだろう」

 ――日本の取引所にまだ上場していないETFで、投資家の需要があると考えているのはどのような分野か。

 「日本株については日経平均株価に連動するETFをはじめ、時価総額別やセクター別のETFも東京証券取引所に上場しており、メニューが一通りそろった感がある。投資家が次に求めているのは海外各国の株価指数に連動するETFではないか」

 「大証にはロシアなど新興国の株価指数や通貨に連動するETFがすでに上場しているが、S&P500やNYダウ、ナスダック指数など日本の投資家によく知られている海外の株価指数に連動するETFはまだない。こうした先進国のメジャーな株価指数を対象としたETFや世界の複数の地域をカバーした指数に連動するETFのニーズがあると考えている」
提供:モーニングスター社
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