フィデリティ、「日本版ISA」の投信市場へのインパクトは3兆円
資産運用大手フィデリティ投信は30日、メディア向けカンファレンスを開催した。第1部で講演した取締役兼代表執行役社長のジュディ・マリンスキー氏は13年の同社戦略について、14年1月からスタートする「日本版ISA(アイサ、小額投資非課税制度)」の啓もう活動に注力し、日本で最大シェアを獲得する方針を示した。マリンスキー社長は、「日本版ISAの公募投信市場へのインパクトは3兆円程度になる」と予想する。
<日本版ISA活用し、現役世代に焦点>
日本版ISAは上場株式や投資信託の配当や譲渡益について非課税とする制度。日本版ISAと呼ばれるのは「Individual Saving Accounts」の頭文字をとった英国の制度を参考としているため。現行の配当・譲渡益に係る10%の軽減税率が14年1月から20%に戻ることの激変緩和措置として位置付けられている。29日に閣議決定された13年度の税制改正大綱では、日本版ISAについて非課税投資総額は500万円(100万円×5年間)、非課税期間は5年間に拡充された。
本場英国ではISAが1999年に導入され、現在16歳以上の5割弱がISA口座を持つ。フィデリティは英国政府に提言を行うなどISA普及に大きく貢献し、業界でのシェアもトップだ。英国ではISA開設者の67%が35−64歳のいわゆる「現役世代」で、同社は日本版ISA導入に伴い「日本の資産運用市場でこれまでないがしろにされていた現役世代に焦点をあてたい」(同社長)という。日本版ISAへの金融商品としては、「ISA向けに新しい商品を導入するというよりは、すでにある商品の中で長期投資に適した貯蓄型の投資信託や、分配型ファンドでも再投資するようなものが望ましい」(同社長)と述べた。
<フィデリティアナリストが予測する13年の投資テーマ>
第2部では13年のグローバル投資テーマについて、日本の株式調査部門を統括する三瓶裕喜氏が講演。三瓶氏はグローバルマーケットをカバーする100名を超える同社株式・債券アナリストにヒアリングしてまとめたアナリスト・サーベイを公表した。
最初の注目テーマとして取り上げたのは、「低成長の先進国、高成長の新興国ということは決定的ではない」ことについて。同社リサーチによれば、株式のパフォーマンスとGDP(国内総生産)の成長率が必ずしも相関していない。これはインデックスとGDPの構成比が異なることなどが要因だが、経済成長の低い国でも特定のセクターや企業が成長することもあるといい、こうしたことを見抜くにはフィデリティが得意とするボトム・アップ・リサーチ(企業1社1社を訪問し、調査分析する手法)が必要だとする。
また、政府部門の財政悪化を背景にレバレッジを解消する動きは今後しばらく続くと予想されることから、同社によれば財務健全性、高いキャッシュフロー創出力、増配余力なども重要なテーマになってくる。長期的な勝ち組を見抜く上では新技術や革新も大きなテーマとなり、例えばシェール革命は米国のエネルギー資源の依存度を大幅に軽減するとみられ、現在の米国の国内価格が低水準にあるため「仮に米国がシェールガスを輸出しなければ、その安いエネルギー調達コストを背景として米国の製造業の競争力は増すだろう」(三瓶氏)と指摘した。
アナリスト・サーベイでは中国の消費主導型の成長や世界的な人口増加に伴う消費関連に注目するアナリストも多かったとする。今後続くと予想される低金利下では、分配金や配当に重点を置くインカムゲイン(配当収益)追及型投資への需要が一層高まり、高格付け社債やハイイールド債、REITや高配当利回りや増配が期待できる株式への投資が活発化するとした。
提供:モーニングスター社
<日本版ISA活用し、現役世代に焦点>
日本版ISAは上場株式や投資信託の配当や譲渡益について非課税とする制度。日本版ISAと呼ばれるのは「Individual Saving Accounts」の頭文字をとった英国の制度を参考としているため。現行の配当・譲渡益に係る10%の軽減税率が14年1月から20%に戻ることの激変緩和措置として位置付けられている。29日に閣議決定された13年度の税制改正大綱では、日本版ISAについて非課税投資総額は500万円(100万円×5年間)、非課税期間は5年間に拡充された。
本場英国ではISAが1999年に導入され、現在16歳以上の5割弱がISA口座を持つ。フィデリティは英国政府に提言を行うなどISA普及に大きく貢献し、業界でのシェアもトップだ。英国ではISA開設者の67%が35−64歳のいわゆる「現役世代」で、同社は日本版ISA導入に伴い「日本の資産運用市場でこれまでないがしろにされていた現役世代に焦点をあてたい」(同社長)という。日本版ISAへの金融商品としては、「ISA向けに新しい商品を導入するというよりは、すでにある商品の中で長期投資に適した貯蓄型の投資信託や、分配型ファンドでも再投資するようなものが望ましい」(同社長)と述べた。
<フィデリティアナリストが予測する13年の投資テーマ>
第2部では13年のグローバル投資テーマについて、日本の株式調査部門を統括する三瓶裕喜氏が講演。三瓶氏はグローバルマーケットをカバーする100名を超える同社株式・債券アナリストにヒアリングしてまとめたアナリスト・サーベイを公表した。
最初の注目テーマとして取り上げたのは、「低成長の先進国、高成長の新興国ということは決定的ではない」ことについて。同社リサーチによれば、株式のパフォーマンスとGDP(国内総生産)の成長率が必ずしも相関していない。これはインデックスとGDPの構成比が異なることなどが要因だが、経済成長の低い国でも特定のセクターや企業が成長することもあるといい、こうしたことを見抜くにはフィデリティが得意とするボトム・アップ・リサーチ(企業1社1社を訪問し、調査分析する手法)が必要だとする。
また、政府部門の財政悪化を背景にレバレッジを解消する動きは今後しばらく続くと予想されることから、同社によれば財務健全性、高いキャッシュフロー創出力、増配余力なども重要なテーマになってくる。長期的な勝ち組を見抜く上では新技術や革新も大きなテーマとなり、例えばシェール革命は米国のエネルギー資源の依存度を大幅に軽減するとみられ、現在の米国の国内価格が低水準にあるため「仮に米国がシェールガスを輸出しなければ、その安いエネルギー調達コストを背景として米国の製造業の競争力は増すだろう」(三瓶氏)と指摘した。
アナリスト・サーベイでは中国の消費主導型の成長や世界的な人口増加に伴う消費関連に注目するアナリストも多かったとする。今後続くと予想される低金利下では、分配金や配当に重点を置くインカムゲイン(配当収益)追及型投資への需要が一層高まり、高格付け社債やハイイールド債、REITや高配当利回りや増配が期待できる株式への投資が活発化するとした。
提供:モーニングスター社