低コストのバンガードETFどう活用? SBIマネープラザがセミナー開催
SBIマネープラザがこのほど海外上場ETF(上場投資信託)をテーマにしたセミナーを開催した。同イベントはインデックスファンド運用最大手バンガードの米国上場ETF「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」が「投信ブロガーが選ぶ! ファンド・オブ・ザ・イヤー2012」で最優秀賞を受賞したことを受けて、同賞の趣旨に賛同したSBIマネープラザが開いたもので、多くの個人投資家が会場に足を運んだ。
セミナーではSBI証券投資調査部グローバルストラテジストの森永康平氏が足元の世界情勢と投資戦略について講演したほか、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏が海外上場ETFの活用法を説明。最後にバンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆代表取締役がバンガードの運用哲学などについて語った。
<森永氏:リスク多い世界経済、分散投資やキャッシュ比率変更で対応>
森永氏は冒頭、主要国株式の年初来パフォーマンスを紹介し、アベノミクスへの期待を背景に日本株は好調だがBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)株は低迷するなど「株価は世界的に見るとそれほど強くない」と指摘。世界経済における今後のリスク要因を列挙し、日本ではアベノミクスの3本目の矢である成長戦略が実現するか不透明とした一方、欧米では財政問題が引き続き要警戒という。新興国に目を向けても中国の大気汚染やブラジルの物価上昇、中東の地政学リスクなど注意すべきことは多いとされる。
様々なリスクを想定するとやはりETFを用いた国際分散投資が望ましいが、近年は各資産の連動性が高まる傾向も見られるため、「分散していれば大丈夫ではなく、キャッシュをどれだけ持つかも大事」(同氏)。リスク資産が大きく下落することが予想される局面では、現金比率を高めるといった対応も必要とアドバイスする。
<カン氏:「点から面」への発想転換必要、ETFなら国・地域超え投資可能>
第2部ではカン氏が海外上場ETFの活用法について講演し、投資において「点から面」に発想を転換することが必要と述べた。「投資家は銘柄選択で自分の選択がいつも正しいと考えがちだが、必ずしも当たるとは限らない」と話し、ETFを用いることで個別銘柄ではなくマーケット全体を買うというアプローチが有効とする。新興国の株式に幅広く投資する「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)」など、1つのETFで国・地域を超えて買えるのは大きなメリットとした。
米国市場では売買代金上位にアップルなど主力銘柄のほかにETFがランクインするなど流動性の高さも魅力。また、ETFは構成銘柄を100%開示する必要があるため、「全面ガラス張りで、運用会社が不透明な運用を行う余地はない」(カン氏)。ETFは通常の投信に比べ、保有するだけで継続的にかかる信託報酬と呼ばれる手数料が低いことも投資家を引き付ける。同氏は「投資でリターンはコントロールできないが、手数料はコントロールできる」と述べ、コストを低く抑えることが潜在的なリターンを上げることにつながると語った。
<加藤氏:長期・分散・低コストが重要、独自の株主構造で差別化>
バンガードの加藤氏は、同社の運用哲学について「長期・分散・低コストを創業のときから掲げている」と強調。同社ETFのエクスペンスレシオ(日本の信託報酬にほぼ相当するもの)が際立って安いのは一般的な投信会社と異なりバンガードは外部株主が存在せず配当などの株主還元が不要なためで、「むしろコスト以上の収入があれば手数料を下げることもできる」とした。
会社構造上の強みに加えて、ETFにおいてはバンガードがビジネス特許を持つ独自の運用方法も低コスト化を実現している。規模の大きい既存のインデックスファンドとETFを共同運用することで「効率化を図ることが可能」(加藤氏)という。同氏はエクスペンスレシオが0.19%と非常に低く、1本で47カ国の株式に投資できる「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」をポートフォリオのコア(中心)にして、「その他自分にあった債券、地域株、小型株のETFを買うと、バランスの取れたポートフォリオになる」と述べ講演を締めくくった。
提供:モーニングスター社
セミナーではSBI証券投資調査部グローバルストラテジストの森永康平氏が足元の世界情勢と投資戦略について講演したほか、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏が海外上場ETFの活用法を説明。最後にバンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆代表取締役がバンガードの運用哲学などについて語った。
<森永氏:リスク多い世界経済、分散投資やキャッシュ比率変更で対応>
森永氏は冒頭、主要国株式の年初来パフォーマンスを紹介し、アベノミクスへの期待を背景に日本株は好調だがBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)株は低迷するなど「株価は世界的に見るとそれほど強くない」と指摘。世界経済における今後のリスク要因を列挙し、日本ではアベノミクスの3本目の矢である成長戦略が実現するか不透明とした一方、欧米では財政問題が引き続き要警戒という。新興国に目を向けても中国の大気汚染やブラジルの物価上昇、中東の地政学リスクなど注意すべきことは多いとされる。
様々なリスクを想定するとやはりETFを用いた国際分散投資が望ましいが、近年は各資産の連動性が高まる傾向も見られるため、「分散していれば大丈夫ではなく、キャッシュをどれだけ持つかも大事」(同氏)。リスク資産が大きく下落することが予想される局面では、現金比率を高めるといった対応も必要とアドバイスする。
<カン氏:「点から面」への発想転換必要、ETFなら国・地域超え投資可能>
第2部ではカン氏が海外上場ETFの活用法について講演し、投資において「点から面」に発想を転換することが必要と述べた。「投資家は銘柄選択で自分の選択がいつも正しいと考えがちだが、必ずしも当たるとは限らない」と話し、ETFを用いることで個別銘柄ではなくマーケット全体を買うというアプローチが有効とする。新興国の株式に幅広く投資する「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)」など、1つのETFで国・地域を超えて買えるのは大きなメリットとした。
米国市場では売買代金上位にアップルなど主力銘柄のほかにETFがランクインするなど流動性の高さも魅力。また、ETFは構成銘柄を100%開示する必要があるため、「全面ガラス張りで、運用会社が不透明な運用を行う余地はない」(カン氏)。ETFは通常の投信に比べ、保有するだけで継続的にかかる信託報酬と呼ばれる手数料が低いことも投資家を引き付ける。同氏は「投資でリターンはコントロールできないが、手数料はコントロールできる」と述べ、コストを低く抑えることが潜在的なリターンを上げることにつながると語った。
<加藤氏:長期・分散・低コストが重要、独自の株主構造で差別化>
バンガードの加藤氏は、同社の運用哲学について「長期・分散・低コストを創業のときから掲げている」と強調。同社ETFのエクスペンスレシオ(日本の信託報酬にほぼ相当するもの)が際立って安いのは一般的な投信会社と異なりバンガードは外部株主が存在せず配当などの株主還元が不要なためで、「むしろコスト以上の収入があれば手数料を下げることもできる」とした。
会社構造上の強みに加えて、ETFにおいてはバンガードがビジネス特許を持つ独自の運用方法も低コスト化を実現している。規模の大きい既存のインデックスファンドとETFを共同運用することで「効率化を図ることが可能」(加藤氏)という。同氏はエクスペンスレシオが0.19%と非常に低く、1本で47カ国の株式に投資できる「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」をポートフォリオのコア(中心)にして、「その他自分にあった債券、地域株、小型株のETFを買うと、バランスの取れたポートフォリオになる」と述べ講演を締めくくった。
提供:モーニングスター社