NISA向けバランス型ファンド相次ぎ登場、リスク軽減型など新タイプも登場

 10月1日にNISA(少額投資非課税制度)の申し込み手続きが始まり、14年1月のNISA開始がいよいよ視野に入ってきた。運用会社はNISA向けの商品ラインアップを拡充させている。なかでも最近目立ってきたのが値下がりリスクを軽減するタイプのバランス型ファンドの登場だ。NISAでは損益通算ができないため、非課税期間の5年終了時をプラスリターンで終えたいと考える投資家は多いはず。運用会社はこうしたニーズに対応するため、リスク軽減型のバランス型ファンドを相次ぎ設定している。

 「10−20銘柄程度バランス型ファンドを取りそろえる」――。NISA専用ファンドの取り扱いについてこう宣言した大和証券。積極的な対応が注目され、直近ではグループ会社の大和証券投資信託委託がミドルリスク型のNISA向け中核ファンドとして位置付ける「スマート・シリーズ」の「スマート・インカム・スイング」を9月9日に設定した。海外の債券および株式・REIT(不動産投資信託)を投資対象として、これらの資産の配分比率を市場のリスク局面に応じて機動的に変更するのが特徴となっている。

 こうした機動的に資産配分比率を変更するタイプは他社でも設定が多く見られ、三井住友アセットマネジメントが8月28日に設定した「ETFバランス・ファンド」もその一例。ETF(上場投資信託)などへの投資を通じて、世界各国の債券、株式およびREITに投資するファンドだが、こちらも市場環境に応じて株式・REITの比率を機動的に変更するのが特徴だ。また、三菱UFJ投信が7月1日に設定した「コアバランス」は国内外の株式や債券など7資産に投資するファンドで、景気動向と市場の変動に応じて3つの投資環境(積極局面・中立局面・消極局面)を想定し、その局面ごとに資産配分比率を変更する。

 一方、下落率に一定水準のめどを設けるファンドも登場している。みずほ投信投資顧問が7月19日に設定した「ダイナミックアロケーション<フロアコントロール型>」は、資産価格の下落局面において半年ごとの基準価額の下落を一定水準(フロア目標−7.5%)までに抑えることを目指す。また、国際投信投資顧問が4月22日に設定した<リスク・パリティαオープン>は、機動的な資産配分と下値保全を目指す戦略の両方を特徴として備えている。

 NISA口座では投資家自身がリバランスを行った場合でも非課税枠を使ってしまうことになるが、バランス型ファンドであれば、ファンドの中でリバランスが行われるため、非課税枠を消費せずに済むといったメリットもある。こうした点からも利用価値は大きいと言え、NISAにおける主要な投資対象として注目を浴びそうだ。
提供:モーニングスター社
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