欧州ハイ・イールド債市場なぜ急成長? 価格に一段の上昇余地=フィデリティ・インタビュー
資産運用大手フィデリティのファンドマネジャーで欧州ハイ・イールド債担当のアンドレイ・ゴロディロブ氏がこのほどモーニングスターのインタビューに応じ、「欧州経済が景気後退から脱却し、緩やかな成長を遂げるなか、欧州ハイ・イールド債は企業の財務力強化を受けて一段の価格上昇が期待される」と語った。
ゴロディロブ氏によると、欧州ハイ・イールド債の市場規模は14年1月末時点で約6370億ドル(約66兆円規模)と、米国ハイ・イールド債市場の50%近くまで急成長している。欧州の金利水準については、「歴史的に見て低水準にある」(同氏)と指摘したが、国債に対するハイ・イールド債の上乗せ金利であるスプレッドは足元で08年の金融危機前に比べて2%程度高い水準にあり、一段の縮小余地があるとみている。
また、欧州ハイ・イールド債は、利回りが1%変化した場合にその債券の価格が何%変動するかを示す数値であるデュレーションが3.57年と、米国の4.26年に比べ短く、「価格の下落リスクが相対的に低い」ことが魅力だという。信用リスクも相対的に低く抑えられており、ハイ・イールド債の格付け別市場規模を見ると、投機的格付けの中で最も格付けが高いBB格の比率は米国が全体の約4割にとどまるのに対して欧州は7割弱と高いとした。
ゴロディロブ氏は、今後の景気動向について、「CPI(消費者物価指数)が低水準になると予想されるなか、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策により低金利環境が続き、欧州経済は緩やかに成長する」とみている。景気回復を受けてハイ・イールド債の市場環境もいっそう改善する見通しだ。欧州ハイ・イールド債は流動性が高く、リファイナンス(債務の借り換え)に失敗する可能性が低いほか、企業の財務健全性の向上を受けてデフォルト率が今後も過去平均より低い水準で推移する見込みであることから、同氏は強気のスタンスを維持している。
リスク要因としては欧州企業による過度な投資を挙げた。現状では欧州企業の保守的な経営により現金が積み上がっており、これが信用力改善につながり、スプレッド縮小に寄与する見通し。もっとも、今後、企業が景気および業績の回復を背景にM&A(企業の合併・買収)などに積極的に資金を投じる経営にシフトした場合、保有現金の急減や行き過ぎた借り入れにより信用リスクが低下する恐れもあり、注意が必要だと付け加えた。
提供:モーニングスター社
ゴロディロブ氏によると、欧州ハイ・イールド債の市場規模は14年1月末時点で約6370億ドル(約66兆円規模)と、米国ハイ・イールド債市場の50%近くまで急成長している。欧州の金利水準については、「歴史的に見て低水準にある」(同氏)と指摘したが、国債に対するハイ・イールド債の上乗せ金利であるスプレッドは足元で08年の金融危機前に比べて2%程度高い水準にあり、一段の縮小余地があるとみている。
また、欧州ハイ・イールド債は、利回りが1%変化した場合にその債券の価格が何%変動するかを示す数値であるデュレーションが3.57年と、米国の4.26年に比べ短く、「価格の下落リスクが相対的に低い」ことが魅力だという。信用リスクも相対的に低く抑えられており、ハイ・イールド債の格付け別市場規模を見ると、投機的格付けの中で最も格付けが高いBB格の比率は米国が全体の約4割にとどまるのに対して欧州は7割弱と高いとした。
ゴロディロブ氏は、今後の景気動向について、「CPI(消費者物価指数)が低水準になると予想されるなか、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策により低金利環境が続き、欧州経済は緩やかに成長する」とみている。景気回復を受けてハイ・イールド債の市場環境もいっそう改善する見通しだ。欧州ハイ・イールド債は流動性が高く、リファイナンス(債務の借り換え)に失敗する可能性が低いほか、企業の財務健全性の向上を受けてデフォルト率が今後も過去平均より低い水準で推移する見込みであることから、同氏は強気のスタンスを維持している。
リスク要因としては欧州企業による過度な投資を挙げた。現状では欧州企業の保守的な経営により現金が積み上がっており、これが信用力改善につながり、スプレッド縮小に寄与する見通し。もっとも、今後、企業が景気および業績の回復を背景にM&A(企業の合併・買収)などに積極的に資金を投じる経営にシフトした場合、保有現金の急減や行き過ぎた借り入れにより信用リスクが低下する恐れもあり、注意が必要だと付け加えた。
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