<★★★★★>三井住友TAM「バンクローン・オープン」、バンクローンを保守的に運用して安定利回り確保

 三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定・運用する「バンクローン・オープン(為替ヘッジあり)」は2017年8月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの5つ★に格上げされた。3年(年率)トータルリターンが1.50%とカテゴリー(国際債券・北米(H))平均(0.30%)を上回っている。同ファンドについて、同社の執行役員総合運用部長の賀來芳彦氏と、実質的な運用を担当するクレディ・スイス・アセット・マネジメントLLCの運用についてクレディ・スイス証券アセット・マネジメント本部長の高橋朗氏に聞いた。

 ――「バンクローン」とは?

 銀行が企業に融資した貸出金の債権を市場で転売したもの。日本では馴染みが薄いが米国のバンクローン市場は約1兆ドルの規模がある。この市場規模は米国REIT(不動産投信)市場よりも大きな市場規模になっている。

 バンクローンの特徴は、信用格付けがBB−B格(S&P社による格付け)などの企業向けの債権が中心となっているため、同程度の格付けのハイ・イールド社債等と同じような高い利回りを得ることができる。8月末時点では、ハイ・イールド債の平均利回り5.62%に対し、バンクローンは5.68%となっている。米国リート(4.23%)より高い利回りだ。

 また、バンクローンは同じ企業が発行する社債や株式等と比較して弁済順位が高い。実際に1987年から2016年までのデフォルト時のバンクローンの平均回収率は80.6%と担保付債券(62.6%)、無担保債券(48.4%)等より高い。

 過去10年間(2007年8月−2017年7月)のパフォーマンスは、円ヘッジ年率リターンで、バンクローンが5.4%となり、外国株式(4.0%)、外国債券(3.4%)を上回る。リーマンショック時に株式より下落率が抑えられ、昨年のトランプラリーのような長期金利が上昇する局面では値上がりしている。これは、米国債などが固定金利であることに対しバンクローンは変動金利という点が背景にあり、特に米国の金利上昇局面で、米国債と比較してバンクローンの上昇が目立つ。前回の利上げ局面(2004年6月−06年6月)では、米国債が5.7%の上昇だったが、バンクローンは12.6%の上昇だった。

 ――ファンドの運用を実質的に行うクレディ・スイス・アセット・マネジメントLLCのバンクローンの運用力は?

 バンクローンの運用を担当しているCIG(クレジット・インベストメンツ・グループ)は、1998年からバンクローンの運用実績があり、運用資産は約5兆円だ。運用責任者のジョン・ポップは33年の運用実績があり、ロシア危機、アジア通貨危機など様々な市場局面を経験している。また、主要なメンバー5名のうち3名は20年近く一緒に運用し、チームとして連携もとれている。

 また、業界での長い運用実績と豊富な運用資金を背景に、バンクローンの発行時に優先的に引き受ける権利を得るなど、市場へのアクセスの面で優位な立場を確立している。

 98年6月から17年7月までにベンチマークのCSレバレッジドローン指数は年率リターン4.7%だったが、CIGが運用する米国ローン・コンポジットは5.9%と年率1%以上アウトパフォームしている。市場環境が悪化した01年−02年、07年−09年、15年などにおいて、より大きな超過収益を記録する傾向にある。

 運用方針としてダウンサイドリスクを抑える保守的な運用に徹し、インデックスを上回る成績を安定的に残している。信用格付けもバンクローン市場の平均はBマイナスだが、当ファンドは平均BBマイナスと高い。

 ――為替ヘッジ付きは毎月20円の分配金を出しているが、この水準は?

 基準価額が1万円近辺で、毎月20円(年間240円)の分配金は年率2.4%程度の分配金利回りだ。バンクローンの利回りが年率5.68%という市場で、ヘッジコストを考慮してもバンクローンの利回り水準にふさわしい適正な分配ができていると考えている。

 ――どのような投資家の方々に向いた商品といえる?

 低金利という投資環境の中で、少しでも有利な利回りを求める投資家の方にご検討いただきたい。また、外国債券運用でポートフォリオの分散を一段と進める役割も期待できる。

 固定金利の米国債や投資適格社債などに対し、バンクローンは変動金利なので、金利上昇はむしろメリットにもなることから、米国債や投資適格社債などに投資する投資信託をお持ちの方には、バンクローンを組み合わせるという使い方もできると思う。
提供:モーニングスター社
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