<最優秀ファンド賞>「三井住友・配当フォーカスオープン」、配当利回りに着目した「負けない運用」の底力
三井住友アセットマネジメントの「三井住友・配当フォーカスオープン」がモーニングスターアワード・ファンド オブ ザ イヤー2017で国内株式中小型 部門(対象ファンド数:243本)最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドは、2016年に優秀ファンド賞を受賞しており、2年連続2度目の受賞になる。同ファンドの特徴と運用について、三井住友アセットマネジメント株式運用グループ シニアファンドマネージャーの木村忠央氏に聞いた。
――運用のコンセプトは?
配当を重視し、市場平均よりも高い配当利回りを維持できる見通しにある企業に投資している。当ファンドでは、業績の成長性や増配などは期待していない。成長性に期待しないことで、結果的に、株式市場で割安に放置されている銘柄を多く組み入れることができている。
日本経済は全体として成熟期を迎え、成長企業は全体の一部にすぎない。多くの企業が、財務内容に問題がなく、毎期キチンと配当を出していても、成長性では注目されることがない。特に、中小型株や新興市場では、成長性こそが評価のポイントと目され、業績が安定している企業は誰にも注目されず、割安に放置されやすい傾向がある。そのような、配当利回りが高く割安に放置されている銘柄に投資し、基本的に長期的に持ち続けるという投資を継続している。
――昨年1年間のトータルリターンは32.42%と、TOPIX(東証株価指数)の上昇率はもとより、カテゴリー(国内中型ブレンド)平均の27.93%をも大きく上回った。1年だけではなく、過去5年、10年と中長期にみても平均を上回る高い運用成績を残している。優れた運用成績を残した理由は?
そもそも中小型株の成長性に着目し、キャピタルゲインを狙う運用をしているファンドマネージャーは、数年間で株価が何倍にも値上がりするような銘柄を血眼で探している。投資銘柄の中には何倍にも値上がりする銘柄もあるが、ファンド全体のパフォーマンスが数倍になるというわけにはいかない。なぜなら、成長性に着目した投資には、成長期待が裏切られ、短期間に下落する銘柄もあるからだ。
ところが、配当に着目し、現在の業績が維持できるかという視点で企業を調べると、確信度が高い投資ができる。もともと株価は割安に放置されているので、投資後に株価が大きく下がる心配もない。それでも、市場全体が上がっている時には、割安な銘柄でも株価は上がる。マイナスサイドに動くことが少ない分、トータルでみると平均に勝てる。あるいは、リスクが抑えられてシャープレシオ(リスクあたりのリターン)など、投資の効率性を測る指標では、高い成績が上げられている。
また、一般に配当利回りに着目した運用の場合、業績数値をスクリーニングして銘柄を選定するという投資プロセスを取ることが多いが、当ファンドは、あくまでもボトムアップで企業訪問・取材をした上で、確信度の高い銘柄に投資している。特に、潤沢なキャッシュを持っている企業には、そのキャッシュの使い方、また、株主還元の考え方など経営陣の考え方を読み取って運用に活かしている。年間400件程度のペースで企業訪問を実施している。
――世界的に続いてきた量的金融緩和の流れが終わって投資環境が変わってくると予想される。当面の運用方針は?
ファンドマネージャーにとって、配当利回りの高い銘柄を長期に保有することは難しいことだ。周囲には日々大きく値上がりする銘柄がたくさんある中で、株価が安定している銘柄への投資をし続けることは心理的に難しい。
しかし、2010年ごろから配当利回りに着目した運用を行い、2014年6月から当ファンドの主担当として、長年、配当を手掛かりにした運用を行っていると、環境変化に対応しようなどと考えず、投資コンセプトの維持を心掛けることが好結果につながるということが良くわかる。ブレることなく、投資方針を維持することが重要だ。
また、日本の企業は、コーポレートガバナンス・コード、日本版スチュワードシップ・コードなどを通じて、従来以上に企業価値の向上、株主還元の強化を意識し始めている。日本企業は現預金を内部留保で積み増してきている。この現預金を、設備投資や給与の増額、あるいは、株主還元等で流動化させようというのが、現在の市場で起きている変化だ。これは、当ファンドにとっては、追い風になると考えている。
これまでの経験を活かしながら、企業との対話を進め、投資家の方々に中長期で安定して高い配当利回りを届けられるように、しっかりした運用に努めていきたい。
提供:モーニングスター社
――運用のコンセプトは?
配当を重視し、市場平均よりも高い配当利回りを維持できる見通しにある企業に投資している。当ファンドでは、業績の成長性や増配などは期待していない。成長性に期待しないことで、結果的に、株式市場で割安に放置されている銘柄を多く組み入れることができている。
日本経済は全体として成熟期を迎え、成長企業は全体の一部にすぎない。多くの企業が、財務内容に問題がなく、毎期キチンと配当を出していても、成長性では注目されることがない。特に、中小型株や新興市場では、成長性こそが評価のポイントと目され、業績が安定している企業は誰にも注目されず、割安に放置されやすい傾向がある。そのような、配当利回りが高く割安に放置されている銘柄に投資し、基本的に長期的に持ち続けるという投資を継続している。
――昨年1年間のトータルリターンは32.42%と、TOPIX(東証株価指数)の上昇率はもとより、カテゴリー(国内中型ブレンド)平均の27.93%をも大きく上回った。1年だけではなく、過去5年、10年と中長期にみても平均を上回る高い運用成績を残している。優れた運用成績を残した理由は?
そもそも中小型株の成長性に着目し、キャピタルゲインを狙う運用をしているファンドマネージャーは、数年間で株価が何倍にも値上がりするような銘柄を血眼で探している。投資銘柄の中には何倍にも値上がりする銘柄もあるが、ファンド全体のパフォーマンスが数倍になるというわけにはいかない。なぜなら、成長性に着目した投資には、成長期待が裏切られ、短期間に下落する銘柄もあるからだ。
ところが、配当に着目し、現在の業績が維持できるかという視点で企業を調べると、確信度が高い投資ができる。もともと株価は割安に放置されているので、投資後に株価が大きく下がる心配もない。それでも、市場全体が上がっている時には、割安な銘柄でも株価は上がる。マイナスサイドに動くことが少ない分、トータルでみると平均に勝てる。あるいは、リスクが抑えられてシャープレシオ(リスクあたりのリターン)など、投資の効率性を測る指標では、高い成績が上げられている。
また、一般に配当利回りに着目した運用の場合、業績数値をスクリーニングして銘柄を選定するという投資プロセスを取ることが多いが、当ファンドは、あくまでもボトムアップで企業訪問・取材をした上で、確信度の高い銘柄に投資している。特に、潤沢なキャッシュを持っている企業には、そのキャッシュの使い方、また、株主還元の考え方など経営陣の考え方を読み取って運用に活かしている。年間400件程度のペースで企業訪問を実施している。
――世界的に続いてきた量的金融緩和の流れが終わって投資環境が変わってくると予想される。当面の運用方針は?
ファンドマネージャーにとって、配当利回りの高い銘柄を長期に保有することは難しいことだ。周囲には日々大きく値上がりする銘柄がたくさんある中で、株価が安定している銘柄への投資をし続けることは心理的に難しい。
しかし、2010年ごろから配当利回りに着目した運用を行い、2014年6月から当ファンドの主担当として、長年、配当を手掛かりにした運用を行っていると、環境変化に対応しようなどと考えず、投資コンセプトの維持を心掛けることが好結果につながるということが良くわかる。ブレることなく、投資方針を維持することが重要だ。
また、日本の企業は、コーポレートガバナンス・コード、日本版スチュワードシップ・コードなどを通じて、従来以上に企業価値の向上、株主還元の強化を意識し始めている。日本企業は現預金を内部留保で積み増してきている。この現預金を、設備投資や給与の増額、あるいは、株主還元等で流動化させようというのが、現在の市場で起きている変化だ。これは、当ファンドにとっては、追い風になると考えている。
これまでの経験を活かしながら、企業との対話を進め、投資家の方々に中長期で安定して高い配当利回りを届けられるように、しっかりした運用に努めていきたい。
提供:モーニングスター社